研究課題
ウィリアムス症候群は、7番染色体長腕にある約28個の遺伝子の部分欠失によって生じる染色体微細欠失症候群の代表的な疾患の一つであり、 その臨床症状は非常に多彩である。しかし、多様な症状を呈する原因の大部分は未解明であり、欠失領域にある遺伝子の解析だけでは不十分になりつつある。 我々のこれまでの研究から、ウィリアムス症候群は欠失領域にある遺伝子だけでなく、他領域を含む複数の遺伝子からなる遺伝子発現異常が表現型に関与すると考えられた。近年、遺伝子の発現を調節する重要な因子の一つであるマイクロRNAが精神神経疾患と関係することが多数報告されている。1種類のマイクロRNAは、複数の遺伝子を調節しており、標的遺伝子 のタンパク質への翻訳を阻害することで、標的の遺伝子発現を抑制することが知られている。マイクロRNAを介した遺伝子発現制御ネットワークの解析により、 症状に関わる複数の遺伝子を標的とするマイクロRNAが同定できれば、病態の解明だけでなく、そのマイクロRNAをターゲットとした治療への応用が期待される。本研究は、患者検体を用いて疾患特異的な遺伝子発現およびマイクロRNA発現プロファイルを明らかにし、さらに共発現ネットワーク解析等のバイオインフォマティクスの手法を適応することで、ウィリアムス症候群の遺伝子発現異常におけるマイクロRNA の関与および臨床症状との相関について明らかにする。最終年度ではマイクロRNAの網羅的解析を行い、これまでに得られた遺伝子発現解析の結果と統合して、論文にまとめた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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