研究課題/領域番号 |
16K09967
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
早田 敦子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自閉症 / 神経炎症 / プロスタグランジンD2 / スパイン / 樹状突起 / マウス / グリア |
研究実績の概要 |
プロスタグランジンD2(PGD2)が幼若期脳の神経形成に及ぼす影響の検討 本年度は、昨年度に引き続き、生後5日齢から11日齢までの幼若マウスにDP1受容体 agonistもしくはsalineを1日1回腹腔内投与したのち、4週齢、8~9週齢で行動試験を行った。また、DP1受容体 agonistもしくはsalineを投与したマウスを日齢14と15週齢でサンプリン グを行いゴルジ染色で樹状突起の形態を観察するとともに、グリアのマーカーで組織学的検討を行った。行動試験はオープンフィールド試験、社会性相互作用試験、新奇物体認識試験、self grooming testを行った。結果はいずれのテストにおいても、DP1受容体agonist群ではバラツキが大きく、saline群とは有意差は認めなかった。組織学的検討では、大脳皮質において、樹状突起の分枝数を調べたところDP1受容体agonist群ではsaline群より分枝性が有意に低下していた。また、スパイン密度は増加していることが確認された。これは、一次培養神経細胞を用いた昨年の結果と一致するものであった。また、15週齢のマウスにおいて、DP1受容体agonist群では大脳皮質のアストロサイトの活性化が認められた。 今後、行動試験については条件設定を検討し直すことと、個体数を増やすことで検討して行く予定である。さらに、造血器型プロスタグランジンD合成酵素欠損マウスおおびDP1受容体欠損マウスが入手できたため、今後これらのマウスを用い、行動観察および組織学的にスパイン数の検討などを行って行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
造血器型プロスタグランジン合成酵素欠損マウスを凍結卵で入手し、個体を得ようとしたところ、初回は出産仔が少なく、さらにすべて食殺してしまい、仔を得るのが遅くなってしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
造血器型プロスタグランジン合成酵素欠損マウスおよびDP1欠損マウスにDP1受容体agonistを投与し、行動観察および組織学的検討を行う。さらに、妊娠マウスに全身性の炎症を引き起こすことで、仔の神経炎症を引き起こし、仔の脳に置ける樹状突起およびスパインの形態を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを凍結卵から起こすのがうまく行かず、実験がやや遅延しており、マウス飼育費等が来年度になってしまった。
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