研究課題
プロスタグランジンD2(PGD2)が幼若期脳の神経形成に及ぼす影響の検討我々は周産期の神経炎症を引き起こすようなイベントが自閉症発症のリスクであることを報告している。また、米国ATPから供与を受けた自閉症脳を用いた解析で、自閉症脳では造血器型プロスタグランジンD合成酵素が増加していることを見出した。これらのデータより、幼若脳において、PGD2が神経細胞形態にどのような作用を及ぼすのかを検討してきた。マウスの一次培養神経細胞にDP1受容体agonisを加えると、濃度依存性にneuriteの有意な伸長が認められた。また、primary dendriteも有意に増加をみとめ、PGD2が神経細胞形態を変化させることを見出した。次に、生後5日齢から11日齢までの幼若マウスにDP1受容体 agonistもしくはsalineを1日1回腹腔内投与し日齢14と15週齢の時点での神経形態をゴルジ染色で観察したところ、大脳皮質において、樹状突起の分枝数がDP1受容体agonist群ではsaline群より有意に低下していた。反対に、スパイン密度は増加していることが確認された。15週齢のマウスにおいて、DP1受容体agonist群では大脳皮質のアストロサイトの活性化が認められた。本年度はP2~P6マウスにpolyI:Cの5日間の連続投与を行い、神経炎症を起こさせることで行動が変化するかを検討したところ、4週齢の時点で自閉症様行動を示すことが明らかとなった。引き続き、造血器型プロスタグランジンD合成酵素欠損 マウスおおびDP1受容体欠損マウスを用いて、polyI:C投与の行動変容への作用がPGD2を介したものかを検討中である。
4: 遅れている
造血器型プロスタグランジンD合成酵素欠損 マウスおおびDP1受容体欠損マウスは受精卵で保存していたものから作成しようとしたが、1度仔がすべて食殺されてしまったため、大幅に研究計画が遅れてしまったため。
現在造血器型プロスタグランジンD合成酵素欠損 マウスおおびDP1受容体欠損マウスが得られ、実験を行っているところである。
造血器型プロスタグランジンD合成酵素欠損マウスとDP1欠損マウスを凍結卵から増やすことがスムーズにいかず、研究が滞り、試薬等を使わなかったため。
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