研究課題
出生体重が1,500g未満で生まれた極低出生体重児(VLBW児)では、正体重児(NBW児)に比べて、知的障害や自閉スペクトラム症の発症頻度が高いことが知られている。これらの児では2歳以降に言葉の遅れや行動上の問題を指摘されることが多い。1)2歳前後に施行した行動観察評価において、VLBW児ではNBW児に比べて他者の視線を追いかけたり、指差しに反応したりするには、より多くの手がかりを必要とすることが明らかとなった。2)VLBW児、NBW児各10例について、修正12カ月から24カ月までの間、特殊なピンマイクを用いて親と子どもの日常的なやり取りを3ヵ月毎に30‐40分程度経時的に記録した。これらの記録物から子どもの音声のみを注意深く切り取り、フォルマント解析を行った。すべての児を対象に2歳時点において、行動評価スクリーニング試験(CBCL及びM-CHAT)を施行したところ、VLBW児3名、NBW中1名がスクリーニング試験をパスできなかった。スクリーニング試験通過群と非通過群の2群に分けてフォルマント解析結果をプロットした。スクリーニングを通過したVLBW児7名とNBW児9例では、月齢と共にF1、F2のフォルマント分布領域が有意に広がり、音声表出機能の発達が推測された。VLBWとNBW児間に有意な差は認めなかった。一方、スクリーニングを通過できなかった4名ではフォルマント分布領域の広がりが有意に少なかった。今回の結果より、早期からの音声(表出音)解析は、ASD児を早期に発見し支援するための有力な手法となる可能性が示唆された。3)双胎で生まれた5組(計10名)とその母親5名を対象に、アクチグラフ(加速度内臓の睡眠記録器)を母と児に装着し、3者間の睡眠比較を行った。月齢と共に双胎両児の睡眠パターンが同期するようになり、同期が進むにつれて母親の睡眠時間も増加することが明らかとなった。
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Kobe Journal of Medical Science
巻: 64(4) ページ: E126-E133
巻: 64(1) ページ: E11-E19
Journal of Autism and Developmental Disorders
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10.1007/s10803-017-3412-x