研究課題/領域番号 |
16K09970
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
東元 健 佐賀大学, 医学部, 助教 (30346887)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Sotos症候群 / NSD1 / 学習障害モデルマウス |
研究実績の概要 |
Sotos症候群(SoS)の基本的特徴は、過成長、特異的顔貌、学習障害である。学習障害は、成人期に自立できる軽度のものから、自立困難な重度のものまであり、その程度は様々である。その他にも、骨年齢促進、心奇形、腎奇形、脊柱側彎などを合併する場合がある。その原因遺伝子は、ヒストンH3リジン36メチル化酵素をコードするNSD1遺伝子であり、そのハプロ不全によって発症する。過去にNSD1のノックアウトマウスが作製されたが、ハプロ不全に相当するヘテロ欠損マウスの表現型は正常であり、一方、ホモ欠損マウスは胚性致死を示した。今年度は、過去に報告されたとおり、ヘテロ欠損マウスが正常で、ホモ欠損マウスが胚性致死を示すことを確認した。次に、Nsd1遺伝子を大脳皮質、海馬、嗅球特異的にノックアウトしたSoSの学習障害モデルマウスの作製を試みた。このマウスは野生型に比べて、生後6週までは低体重を示すが、それ以降は正常と体重は変らず、通常の発育を示す。また、雄、雌共に生殖能力があった。しかしながら、このマウスは出生後の生存能力が野生型に比べて弱く、出生後、野生型の仔を一部間引きしなければ、生存できない特徴を持つ。このことは、このマウスが何らかの脳の障害を持っている可能性を示唆する。今後、マウスの行動表現型解析を行う予定である。一方、Nsd1タンパクの標的遺伝子を同定するために、CRISPR-Cas9により、Nsd1遺伝子の下流にタグを挿入したマウスを現在作製中である。今後このマウスを利用してNsd1タンパクの標的遺伝子の同定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
NSD1 floxマウスの繁殖が予想通りに進まず、CRISPR-Cas9法によるゲノム編集技術を用いて、NSD1の遺伝子の下流にタグを挿入したマウスの完成が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPR-Cas9法によるゲノム編集技術を用いて、NSD1の遺伝子の下流にタグを挿入したマウスの完成を急ぐ。また、行動表現型解析に必要なマウスの数を確保しその解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) Nsd1 floxとNsd1コンディショナルノックアウトマウスの繁殖が遅れ、次の段階に進めなかったため。 (使用計画) Nsd1 floxとNsd1コンディショナルノックアウトマウスを繁殖させ、次の段階に必要な数を確保次第、当初の計画通りに進める予定である。
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