研究課題
慢性肉芽腫症(CGD)は活性酸素産性能の欠損により、激しい感染症を繰り返す疾患である。これまで、骨髄移植や遺伝子治療が試みられていたが、まだ多くの問題を残している。我々は、この問題を解決すべく、PEG-DAOを用いた酵素補充療法を考案し、CGD患者好中球を用いたin vitroでの有用性を確認していた。しかし、in vivoでのPEG-DAOの効果が確認されていなかった。この研究では、慢性肉芽腫症マウス(gp91phox欠損マウス)を用いたin vivo肺炎モデルを確立し、同時に新規に作成した真菌由来のPEG-DAOの生化学的解析と薬理動態解析を行い、最適な効果を発揮する条件を検討した。その上で、カンジダ死菌吸入後、どのタイミングでPEG-DAOとD-アミノ酸投与が効果を判定するのに良いのか、3種類のプロトコールを試みた。具体的研究成果としては以下のようであった。1)PEG-DAOの生化学的解析と薬理動態解析を行い、D-prolineとD-phenylalanineに対する各々のVmaxおよびKm値を確認し、生体内半減期が30-40時間とかなり長いことを確認した。 2)カンジダ死菌をCGDマウス吸入させるin vivo肺炎モデル作成では、カンジダ死菌吸入後9日または4日後でも同様に体重減少が得られたが、実験2、3では、PEG-DAOの投与は早期の反応が認められる4日目とした。3)D-phenylalanineのKm値がD-prolineの約1/20であることから、D-prolineをD-phenylalanineに変更して第3回目の実験を行い、D-Prolineを用いた実験1、2と同等または安定した結果がが得られた。以上の結果より、PEG-fDAOはカンジダ死菌用いたin vivo肺炎モデル実験でも、有用であることを確認できた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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