研究課題/領域番号 |
16K09974
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
武内 俊樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383741)
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研究分担者 |
上原 朋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30767124)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CDC42 / 血小板低下 / 知的障害 |
研究実績の概要 |
当該年度では、すでに表現型と遺伝子解析により診断の確定している本疾患罹患患者2名の協力を得て、本疾患に特徴的と考えられる巨大血小板について、電子顕微鏡を用いて詳細な形態解析を行った。その結果、血小板内の空砲の著明な増多が認められた。この所見は、2名の患者において共通して確認することができた。これまでに、モデル動物での知見として、Cdc42遺伝子とRac1遺伝子のダブルノックアウトマウスで、巨大血小板と血小板内の空砲の増加が報告されている。これらのことから、本疾患患者で認められているCDC42遺伝子の特定のアミノ酸置換変異(p.Tyr64Cys)は、機能低下型変異である可能性が示唆された。2018年に新しく3例目の本疾患患者が報告された。この患者において、巨大血小板性血小板低下症、重度知的障害、特徴的顔貌、屈指といったこれまでの2患者に共通して見られた表現型が確認され、網羅的遺伝子解析でCDC42遺伝子にこれまでの2患者と同じ新生突然アミノ酸置換変異(p.Tyr64Cys)を認めた。この報告は、本疾患が、臨床的に診断可能な独立した疾患概念であることをさらに支持するものであると考えられた。一方で、これまでの3名の患者では、同一のアミノ酸置換変異を有していることから、機能獲得型変異である可能性も完全には否定できない。遺伝子変異がタンパクレベルで与える影響を明らかにするために、当初の研究計画どおり、Cdc-42遺伝子改変モデル動物を作出し、機能解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2患者について、詳細な血小板表現型を電子顕微鏡を用いて解析することができた。3例目の患者が報告され、本疾患の表現型スペクトラムの解析が進み、核となる臨床表現型と、随伴する症状についての検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って、本疾患患者で確認された遺伝子変異が表現型に与える影響を、モデル動物としてC.elegans(線虫)を用いて個体レベルで明らかにし、本疾患の病態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初今年度分として計上していた消耗品への支出が予定より少なく済んだため、次年度に繰り越し、消耗品購入や成果発表のための学会出張に支出する予定である。
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