当初の研究計画に従って、CDC42遺伝子異常症に特徴的な巨大血小板の電子顕微鏡を用いた形態解析、患者遺伝子変異を導入した遺伝子改変モデル動物の機能解析、国内外の本患者の表現型スペクトラムの解析を行い、研究成果を国際学術誌Scientific Reportsに英文論文として発表した。国内外の5人の本疾患患者について、詳細な表現型の比較検討を行った。その結果、巨大血小板性血小板減少症、知的障害、屈指、脳構造異常と感音性難聴、甲状腺機能低下症、易感染性が本疾患の核となる症状であることを見出した。患者由来の血小板を高解像度の電子顕微鏡で解析し、α顆粒は減少し、空胞が増加していることを見出した。また、血小板の定量計測により、患者では、血小板の一部のみが巨大化することを定量的に示すことに成功した。CRISPR/Cas9による遺伝子編集技術を用いて、患者由来の遺伝子変異(p.Tyr64Cys)を導入したC.elegansの作出に成功した。変異を導入したC. elegansでは、生殖腺と卵細胞において死細胞数が変異アレルの数に比例して増加していた。本疾患は、「武内・小崎症候群」として、厚生労働省の小児慢性特定疾病に認定されることが決定した。本疾患に対する治療研究をさらに発展させるため、2018年度から日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業の一環として「CDC42阻害剤による武内・小崎症候群の治療法の開発」研究班(研究代表者:武内俊樹)を組織し、強力に研究を推進している。
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