研究課題/領域番号 |
16K09979
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
五十嵐 麻希 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 共同研究員 (10623035)
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研究分担者 |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 性分化疾患 / GATA4 / PROKR2 / MAP3K1 / エクソーム解析 / 機能亢進変異 / スプライス異常 / NR5A1 |
研究実績の概要 |
本年度は、下記の研究成果を得た。これらは、性分化疾患(DSD)の発症機構の解明と疾患スペクトラムの理解に繋がる成果であった。 1)既報の遺伝子変異が認められなかった46,XY性分化疾患患者119例を対象にして、GATA4遺伝子の変異スクリーニングに取り組んだ。同定した2つの遺伝子置換について機能解析から、4症例に同定されたp.P407Qは疾患感受性多型であり、1例に同定されたp.R265Cは疾患発症へ影響のない塩基置換である可能性を見出した。重要な点として、心疾患の伴わない46,XY DSD患者において、GATA4変異による疾患発症は稀であることが判明した。 2)NR5A1遺伝子のp.R92W変異は、46,XX精巣性/卵精巣性DSDを引き起こす初めての単一遺伝子変異として、われわれが昨年度に論文報告したものである。本年度は、この変異を持つ1家系の詳しい臨床情報をまとめ、表現形型の多様性を示した。 3)PROKR2遺伝子は、思春期遅発症の発症責任遺伝子として知られている。われわれは、思春期早発症患者においてPROKR2遺伝子にヘテロ接合性の機能亢進型変異を世界で初めて同定した。この変異タンパクは、単独ではシグナル伝達能の喪失が認められたものの、野生型タンパクとの共発現下ではシグナル伝達の亢進が認められた。よって、この変異は野生型と2量体を形成することで機能亢進を示すことが示唆された。 4).MAP3K1遺伝子変異は、機能亢進変異によって46,XY DSDを起こすことが報告されている。われわれは、停留精巣とマイクロペニスを有する兄弟例より、MAP3K1遺伝子に同一のヘテロ接合性の塩基置換を同定した。in vitro機能解析より、この塩基置換がエクソン内でスプライス変更を引き起こし、これによりタンパクが機能亢進を示すことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究成果により、英文科学雑誌に4報の論文として発表ができたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を論文として発表できるように、執筆活動に力を入れる。 同時に、新しい成果を得るためのデータ解析や実験にも時間をかける。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬に使用期限があるため、次年度に購入したほうが妥当だと判断した消耗品があったために次年度使用額が生じた。 今年度も消耗品のセール時期を考慮に入れて、計画的に助成金を使用する予定である。
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