研究課題
発達性協調運動障害(DCD)の神経基盤は脳の運動制御モデルである内部モデルの障害説や模倣学習に関わるミラーニューロンシステムの障害説などいくつか想定されている。今年度は、開発中のMovement Assessment Battery for Children-2nd edition(M-ABC2)日本語版と映像遅延検出課題を用いて視覚-運動時間的統合能力について検討したところ、子どもが有する手運動機能(手指の巧緻性)は,年齢と関係なく,子どもの視覚-運動時間的統合能力の強力な予測因子であること,すなわち、手運動機能と視覚-運動時間的統合能力との間には,直接的な関係(ダイレクト-リンク)があることを明らかにした。また、M-ABC2日本語版の年齢層1(3~6歳)における予備的な検討を行った。結果、この年齢の日本人の子どもでは、オリジナルの英国人でのデータに比べて、手先の巧緻性やバランス能力が高いこと、また男女差があり、女児ではバランスのスコアが男児より高いことが明らかとなった。また、因子分析ではオリジナルの英国での検討と異なる因子構成が示された。これらより、人種差・文化差などを考慮した我が国独自の、さらに、生物学的あるいは社会的な性差を考慮した標準化が必要なことが示された。今後、DCDの神経基盤についてより詳細に検討し、ニューロリハビリテーションの可能性、薬物療法など包括的な介入方法の開発につなげていきたい。
2: おおむね順調に進展している
研究代表者の所属機関の異動などがあったが、研究は連携研究者とともにおおむね順調に進捗し、成果に関しても順次、学会および論文発表を行っている。
研究代表者の所属機関の異動、研究実施場所の変更に伴う環境整備の必要性が生じたこと、また、成果についての学会や論文発表、研究の進捗に伴い明らかとなった新しい課題に関する機器整備を行うなど、補助事業の目的をより精緻に達成する目的で補助事業期間延長を行った。今後はこれらを推進していく。
研究代表者の所属機関の異動による研究実施場所の変更があったが、諸事情にてインターネットや実験環境の整備の遅れが生じたこと、また、研究の進捗に伴い、補助事業の目的をより精緻に達成するため、新しい環境での、新しい課題に関する機器などの整備、また、成果の国際学会発表などを行う必要が生じたため、補助事業期間延長を申請した。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (3件)
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