発達性協調運動障害(DCD)の神経基盤は脳の運動制御モデルである内部モデルの障害説や模倣学習に関わるミラーニューロンシステムの障害説などいくつか想定されている。Developmental Coordination Disorder Questionnaire、Strengths and Difficulties Questionnaire、KINDLを用いて小学2年生と5年生における協調と行動特性、QOLとの関連を検討したところ、子どもの協調は,学年が上がるにつれ発達し,特に「微細運動・書字」運動は女児のほうが器用など性差があること、また、協調は行動特性やQOLと深く関連すること、また、思春期にかけても社会的スキルと相関することを明らかとした。DCDに対する介入に関して、開発中のMovement Assessment Battery for Children-2nd edition(M-ABC2)日本語版を用いて客観的に評価を行った。ASD児における課題指向型アプローチを用いた検討ではその特性に配慮すること、小集団による作業療法がより有効である可能性が示された。他の神経発達障害との関連では、限局性学習障害(発達性読み書き障害)における検討により、協調と処理速度や目と手の協応との関連、ASD特性との関連を認め、限局性学習障害への介入・特別支援教育を考える上で、協調は重要な視点であることが示唆された。DCDに対するニューロリハビリテーションの開発として、閾値下振動触覚ノイズ(Subthreshold Vibrotactile Noise: SVN)刺激が感覚入力や運動機能を改善することをDCD小児に応用可能か予備的に検討を行った。結果、SVN刺激の適用が運動の不器用さを有する児の微細運動機能を即時的に改善することを実証することができた。今後、DCDの神経基盤についてより詳細に検討し、ニューロリハビリテーション、薬物療法など包括的な介入方法の開発につなげていきたい。
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