研究課題/領域番号 |
16K09982
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
植松 貢 東北大学, 大学病院, 講師 (90400316)
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研究分担者 |
植松 有里佳 (沼田) 東北大学, 大学病院, 特任助手 (70735779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 髄鞘化 / マウス / ラット / アポトーシス |
研究実績の概要 |
今回の研究は、低分子RNAのミトコンドリア内への輸送に関与する新規候補遺伝子X(PNPT1)が中枢神経系に及ぼす影響について、症例の線維芽細胞やマウスを用いて病態解析を行い、さらに治療薬について検討することを目的としている。平成29年度は、平成28年度に引き続いてPNPT1遺伝子異常による神経細胞異常についての解析を行った。PNPT1遺伝子異常を持つ髄鞘化障害症例およびコントロールの線維芽細胞を用いて、神経細胞に直接分化させ(Direct reprogramming法、Xue Y et al.Cell 2013)、神経細胞体や神経突起の異常、また神経細胞の細胞生存率の低下について検討を行った。その結果、コントロールに比して症例の神経細胞は早期にアポトーシスを起こす生存率の低下を認めることを見出した。今後、このPNPT1変異神経細胞における早期アポトーシスの機序について、neuronの各種マーカーやアポトーシス関連蛋白の解析を行って、アポトーシスを起こす神経細胞の種類や動いているカスケードを同定すると共に、酸化ストレス物質の測定と、MA-5(抗酸化ストレス新規薬)によるアポトーシスのレスキューの可能性について、解析を進める予定である。当科で作成したPNPT1遺伝子のノックアウトマウスはほぼ胎内致死であり、予定していたオリゴデンドロサイトの初代培養系の確立が困難であった。そこでCrisper/Cas9法を用いて症例のミスセンス変異の導入を試みたが、変異遺伝子の配列の問題で作成困難であった。今後は、野生型マウスから作成したオリゴデンドロサイト前駆細胞の初代培養細胞を用いて、PNPT1遺伝子をレンチウイルスを用いてノックダウンし、成熟に伴って発現が変化するマーカー蛋白の異常の有無などについて、免疫組織科学的な手法及びウエスタンブロットを用いた生化学的手法を用いた解析を予定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用予定だったノックアウトマウスが胎生致死であり、初代培養系が確立できなかった。Crisper/Cas9を用いて症例が持っているミスセンス変異導入も遺伝子配列の関係で困難であった。マウスを用いた機能解析については、野生型マウスからオリゴデンドロサイトの培養細胞を樹立し、レンチウイルスによってPNPT1遺伝子をノックダウンする系を確立して解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
症例の線維芽細胞から神経細胞に分化する系は確立でき、生存率が低下していることも確認できた。上記の系を用いて、MA-5などのミトコンドリア治療薬が生存率を改善できるかどうかを観察する予定。マウスから確立したオリゴデンドロサイトのPNPT1ノックアウトの系でも、同様の異常とレスキューができるかどうかも確認し、動いているカスケードの解析も免疫染色やウエスタンブロットなどを用いて行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いた実験を次年度に行うこととしたため
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