研究課題/領域番号 |
16K09983
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
萩野谷 和裕 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00208414)
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研究分担者 |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳性麻痺 / 遺伝子 / 満期産 / てんかん性脳症 / 遺伝性痙性対麻痺 |
研究実績の概要 |
MRI正常または非特異的な満期産両麻痺患者は、本院に通院する脳性麻痺患者1200人中約100人であった。そのうち18名の患者において、保護者の了解のもとに血液・唾液を採取し、DNAを東北大学小児科にて抽出後、トリオでの全エクソーム解析、マイクロアレイCGHによる網羅的遺伝子解析を行った。本研究の対象となる患者はまだ多数となるので、今後も継続予定である。18例の臨床病型は、痙直型両麻痺が12例、ジスキネジア型四肢麻痺が3例、失調型が2例、混合型が1例であった。その結果、1例ではクラインフェルター症候群であることが判明した。結果的に、現時点では、18例中9例(50%)において、原因を強く示唆する遺伝子変異を見出した。7人はde novo変異で2人は劣性遺伝性であった。この検出確率は既報の14%に比して有意に高く、本研究のinclusion criteriaである、(1)満期産脳性麻痺、(2)MRI正常か非特異的変化という二つが基準が病因遺伝子の検出率を高めることに有効であることを示している。さらに検出された4遺伝子は、早期乳児てんかん脳症の遺伝子であったことから、てんかん性脳症以外の表現型を取ることが明らかとなった。4例は、遺伝性痙性対麻痺の遺伝子であった。今後、見出した変異の表現型の解析を進めるとともに、さらに症例数を増やして原因遺伝子の検討を進めていく予定である。これまでの成果については現在論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに検討予定となっている患者を同定しているために説明・同意取得・検体採取・遺伝子解析まで、スムーズに進めている。今後、さらに大きな症例数にて検討ができるためには、マンパワー・予算の制約が危惧される。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多数例での検討を予定している。原因として確定できずにいる変異遺伝子について、表現型を動物実験にてさらに検討する方向を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した患者数に到達していないために、予算を消化しきれていない。また、学会発表をしていないために、旅費の使用ができていない。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、海外・国内での学会での発表を予定している。また、患者数が増加することを予想しているので、次年度に使用したい。
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