研究課題
電位依存性カリウムチャネルKv7.2は神経細胞の過興奮抑制に関与し、それをコードするKCNQ2は良性家族性新生児けいれん(BFNC)や大田原症候群の原因遺伝子である。一方、けいれん重積型急性脳症(AESD)の病態として神経興奮毒性が推測されている。これまでにAESDではナトリウムチャネル遺伝子変異を有する症例があることを報告した。そのため、AESD13症例に対し、ナトリウムチャネル以外のgenetic epilepsy原因遺伝子が遺伝的素因となる可能性を検索するためターゲットエクソーム解析を先行した。2症例でKCNQ2の稀な非同義変異を認めたため、さらに解析数を増やして検討した。AESD 56症例に対してサンガー法によるKCNQ2の全エクソンの塩基配列決定を行った。初回痙攣が重積発作、二相性の経過、頭部画像の陽性所見、の全てを満たす症例を対象とした。全症例でBFNCの既往はなく、家族歴として17症例で熱性けいれん、2症例でてんかんを認めた。1症例で非同義変異rs796052612(c.185C>T, p. Ala62Val) を認めた。本変異は先行解析の1例と同一変異であり本症例の母に熱性けいれんとてんかんを認めた。変異タンパクのpolyphen2での解析結果はpossibly damagingであった。東アジア人正常対照と比較してマイナーアリル頻度は有意に高かった。2つの稀な同義変異 rs61737409(c.1719C>T)、rs760979156(c. 2523C>T)を各々1症例において認めた。KCNQ2の非常に稀な非同義変異をAESD群で有意に高頻度に認めた。KCNQ2はAESDの感受性遺伝子である可能性がある。
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