研究課題
平成30年度までに新規にウェスト症候群を発症した7名の乳児で患者家族の同意を得て脳波-fMRI同時記録(EEG-fMRI)の撮像を行った。トリクロリール内服による鎮静下での撮像に成功しデータ収集ができた。EGI社のソフトウェアを用いてMRI撮像中の脳波でウェスト症候群に特徴的なヒプサリズミアと呼ばれるてんかん放電の発生するタイミングを同定した。そして画像解析プログラムSPMを用いて、てんかん放電のある時間帯とない時間帯のBOLDシグナルの変化を画像化した。その結果、大脳皮質には多発性の活動亢進部位が認められ、脳幹部にも活動上昇が見られた。また1名の患者では脳波上のてんかん放電が左側有意に見られ、EEG-fMRIで左海馬にBOLDシグナルの上昇を認めた。大脳皮質と脳幹部の異常なてんかん性ネットワークを形成することがウェスト症候群の発症に関わっていることが推測され、また海馬など大脳辺縁系の関与も考えられた。ACTH療法後の生後12か月に脳波検査で焦点性てんかん放電が残存していた患者3名で、生後12か月にEEG-fMRIを再検した。その結果、2名では前頭葉、1名は左海馬に陽性BOLDシグナルが残存していたが、脳幹部の異常所見は消失していた。治療により脳波でヒプサリズミアが焦点性てんかん放電に変化するのに伴い、脳幹の異常活動が消失したことから、ヒプサリズミアを引き起こす病態に脳幹が強く関わっていることが明らかになり、治療効果の客観的評価にも有用と考えられた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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