研究実績の概要 |
本研究は「細胞-細胞外基質の相互作用や培地・細胞解離試薬などの細胞外 環境がその後の分化誘導の効率を変化させる」という仮説に対して、MyoD-iPS細胞を用いた分化誘導実験とその分化課程における網羅的遺伝子発現解析によりアプローチし、最終的には均質な骨格筋細胞を 96-well ないしは 384-well 細胞培養プレートで効率的に培養し、ハイスループットな薬剤スクリーニング系 (HTS) に発展させることを目的としている。
研究計画では平成28年度中に種々の未分化培養条件の検討と馴化培養を行いその基礎試料となる検体採取を目標としていたが、市販の各種培養試薬等の変更などにより、対象とする培養条件をいくつか変更した。 研究開始時は、マウス胎仔由来線維芽細胞あるいは SNL 細胞上で 20%KSR を含有する培地で維持培養を行う原法を基本とし、mTeSR1(STEMCELL Technologies), StemFit AK02N(Ajinomoto), PluriSTEM(Merck), E8(Invitrogen) の各種培地を用いて、Matrigel(Corning), VTN-N(Invitrogen), Geltrex(Invitrogen), iMatrix-511(nippi) 上での培養を行ったが、組み合わせにより細胞の接着状況や増殖状況がかなり異なり、全ての条件を同一のタイムコースで評価することは困難であった。
当初は馴化培養として3継代を予定していたが、解析タイムラインを変更して検討を開始している。このため、全体としては均一な検体を収集できておらず、場合によっては純化出来た条件のみでの比較も検討している。しかしながら概ね必要な培養条件が確立されてきているため、HTS系への移行については期待が持てると考えている。
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