研究実績の概要 |
本研究は「細胞-細胞外基質の相互作用や培地・細胞解離試薬などの細胞外環境がその後の分化誘導の効率を変化させる」という仮説に対して、MyoD-iPS細胞を用いた分化誘導実験とその分化課程における網羅的遺伝子発現解析によりアプローチし、最終的には均質な骨格筋細胞を 96-well ないしは 384-well 細胞培養プレートで効率的に培養し、ハイスループットな薬剤スクリーニング系 (HTS) 発展させる基盤を形成することが目的である。
研究計画では平成29年度中に種々の未分化培養条件の検体を収集し、網羅的遺伝子発現解析を予定していたが、平成28年度報告の通り、馴化培養における培養条件の変更等により検体収集に遅れが生じていたため、引き続き検体収集を中心とした実験を行った。標準的iPS細胞である 253G4 および 409B2 細胞株を用いて、SNL フィーダー細胞上で 20%KSR を含有する培地で維持培養を行う原法、mTeSR1, StemFit AK02N, E8 の各種培地を用いて、Matrige, VTN-N, Geltrex, iMatrix-511 上で培養を行い検体を収集した。Geltrex は他社製培地との組み合わせで有効な培養系が確立できなかった。また、iMatrix-511 上で継代数を重ねた細胞は Matrigle および VTN-N への接着性が低下した。また並行して一部の条件で骨格筋分化誘導の予備的検討を開始した。
最終年度には平成29年度までに収集した検体を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い、特にこれらの接着性の差異を生じる遺伝子変動を見出すことを目的としている。また骨格筋分化培養に変動を与える因子について検討する。
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