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2016 年度 実施状況報告書

Toll様受容体を介す熱性痙攣と続発性てんかんの病態解明と新規分子標的療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K09990
研究機関愛媛大学

研究代表者

福田 光成  愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (80274330)

研究分担者 元木 崇裕  愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (50719169)
石崎 義人  九州大学, 大学病院, 助教 (20572944)
田中 潤也  愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70217040)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードToll様受容体 / 熱性痙攣 / 熱性痙攣重積 / てんかん / 分子標的療法
研究実績の概要

中枢神経系の感染免疫は、熱性痙攣やてんかんなどの小児期痙攣性疾患の病態に深く関わる。しかしその機序は完全には解明されていない。Interleukin-1β等の炎症性サイトカインが痙攣性疾患の病態に関与するとの知見は、我々の研究業績を含めて現在まで多くの報告がある。しかしToll様受容体(Toll-like receptor: TLR)を介する自然免疫系が痙攣性疾患の病態に如何に関与するかの報告は少ない。
TLRは自然免疫においてウイルスや細菌の構成成分を認識し,感染防御のシグナル伝達を行うパターン認識受容体で、このうちTLR4は、そのリガンドが動物実験での痙攣を増悪させ、またヒト脳のてんかんの病態にも関与する可能性が報告された。しかし小児の代表的痙攣性疾患である熱性痙攣や、熱性痙攣重積後の成人期に起こる難治性の内側側頭葉てんかん発症へのTLR経路の関与についての報告は極めて少ない。一方、最近の研究では、TLR4以外にもTLR3も痙攣性疾患の病態に関与する可能性が指摘された。そこで我々の熱性痙攣動物モデルである日齢14-15のルイス雄性ラットを用いた温熱誘発痙攣モデルを使用し、TLR3/4が幼弱脳の痙攣準備性に与える影響を検討した。
日齢14-15のルイス雄性ラットを麻酔鎮静下に頭部を定位脳固定装置に装着し、右側海馬と後頭葉硬膜上に脳波電極を装着する。温熱負荷装置にラットを留置しすると体温が40.9±0.4℃で痙攣発作を起こし発作波が記録される。このモデルを用いて痙攣誘発1時間前にTLR3/4リガンドを点鼻投与し温熱負荷で痙攣を誘発し、痙攣閾値と持続時間の変化を評価した。
その結果、TLR3リガンド及びTLR4リガンドともに温熱誘発痙攣の痙攣閾値を低下させたが、痙攣持続時間には明らかな影響を与えなかった。つまりTLR3/4はともに熱性痙攣を促進させる可能性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先行研究もしていたため、進達状況は概ね良好である。

今後の研究の推進方策

今年度はTLR3/4経路が「熱性痙攣重積後の内側側頭葉てんかん発症を促進させるか」 また「熱性痙攣や内側側頭葉てんかん発症阻止のための分子標的になるか」について検討する。
TLR3/4経路は熱性痙攣重積後の内側側頭葉てんかん発症を促進させるかについては、我々の温熱誘発痙攣重積モデルを用いて、痙攣重積直後にTLR2,3,4,9リガンドを投与し、成熟期のてんかん発症の状況をビデオ脳波同時記録システムで、また海馬障害を放射線及び病理学的に評価する。
TLR3/4は熱性痙攣や内側側頭葉てんかん発症阻止のための分子標的になるについては、上記のモデルを用いて各TLR拮抗薬を投与し、温熱誘発痙攣及び内側側頭葉てんかん発症が抑制されるかを検討する。更にこれら拮抗薬は、既に発症した内側側頭葉てんかんを抑制するかも生理学及び病理学的に評価する。
熱性痙攣重積モデルは我々の「温熱誘発痙攣重積モデル」を用いる。日齢10-11の幼弱ラットを40.5-41.5℃に設定した温熱負荷装置内に30分間留置することにより20-23分間の断続的かつ継続的な温熱誘発痙攣重積を発生させることができる。このモデルを用いて痙攣重積負荷直後にTLR3/4リガンドを点鼻投与して、成熟期の内側側頭葉てんかんの発症を評価する。
てんかん発症については、日齢90に全身麻酔下に右側海馬と後頭葉に脳波電極を装着し、24時間ビデオ脳波記録で自然発症てんかん発作の有無を確認する。海馬の病理学的評価については、前述の全検査終了後に全身麻酔下に脳を取り出し、内側側頭葉てんかんに特徴的な神経脱落、グリア細胞や苔状繊維異常増盛等の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

先行研究を行っていたため、その分の経費が残った。

次年度使用額の使用計画

研究のスピードを上げることにより、繰り越し分を適正に施行する。

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公開日: 2018-01-16  

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