研究課題
話者と対面している際、音声情報だけでなく口の動きや表情などの視覚情報も利用するマルチモーダル(多様な)言語情報処理が行われる。本研究の主な目的は、眼球運動追跡装置を用いて、その神経機構を子どもの発達という観点から明らかにすることである。平成29・30年度には、200人以上の4歳の参加者からなる前向きコホート集団を対象として検査を実施する予定で、それを滞りなく遂行するために、平成28年度は下記のように綿密に準備を行った。1.平成26・27年度に、同コホート集団が2歳の時に眼球運動追跡装置にて収集した言語情報処理課題でのデータについて解析を行った。同課題を用いた場合に、十分な精度をもって眼球運動を検出できることを確認した。また比較検証するために成人を対象として同課題を実施した。その結果、注意を向ける部位は2歳児では成人とは異なること、また2歳児のなかでも個人差が存在することが明らかになり、同課題により子どもの言語情報処理がどのように行われているかを推察することが可能であることを確認した。よって、2歳からの継時的な変化を観察するために4歳でも同課題を実施することが、子どもの言語情報処理の発達過程を解明するには重要であると判断した。2.2歳児に実施した同課題に加え、4歳のための新しい課題を複数個作成し、その有効性を検証した。言語情報処理課題から得られる情報を補完・補足するためには、注意実行機能を測定する新課題を実施することが有用だと考え、4歳時に言語情報処理課題に追加して実施することを決定した。
2: おおむね順調に進展している
眼球運動追跡装置に加えて脳機能計測装置の同時計測も計画していたが、様々な検討を行い、各装置の時間分解能の相違があり有効性は高くないと判断し、かつ参加者の負担を鑑み、眼球運動追跡装置のみを実施することとした。4歳時に実施する課題について、予備的な実験結果に基づき課題を確定することができた。
確定した課題を、平成29・30年度にかけて実施予定である。ある程度の人数の検査が終了した時点で、予備的な解析を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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