研究課題
アイトラッカー(眼球運動追跡装置)を用いて、マルチモーダル(多様な)言語情報処理の神経機構を子どもの発達という観点から明らかにすることが、本研究の主要な目的である。九州大学でフォロー中の200人を超える子どもの前向きコホート集団を対象として、平成28年度、30年度までに、それぞれ2歳・4歳時点での検査が完了し、令和元年度当初から6歳の検査を開始していた。これらの長期的な計画の中で、令和2年度には下記の実績を得ることができたが、新型コロナウイルス感染症は研究計画に大きな影響を与えた。1.令和2年度も引き続き6歳時点でのデータ収集を継続したが、緊急事態宣言など新型コロナウイルス感染症の影響により、検査するために大幅な調整が必要となり、実際の参加者数も予定数の約6割と大きく下回ることになった。しかし、この研究には、言語情報処理課題から得られる情報を補完・補足し解釈をより精緻化するための注意実行機能を測定する課題に加え、線2分法・利き手の調査も含まれており、参加者の生理学的指標だけでなく行動学的指標も収集できたことになる。2.上述した注意実行機能課題の有用性については、すでに右利き成人で検証し発表しており、2歳・4歳のデータについて解析を継続中である。注意実行機能課題については、その生理学的意義を確立するためのアイトラッカーと事象関連電位の同時計測データについては解析を一旦終了していたが、より詳しい解析をするために、cluster-based permutation testを導入することができた。
3: やや遅れている
データ取得・解析ともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、データ取得に支障を生じただけでなく調整にも時間を要し、解析が遅延したため。
2歳・4歳・6歳のデータを縦断的に解析し、令和3年度は完遂したい。上述した成人の結果と比較し、その行動学的・大脳生理学的な機序を解明する計画である。
新型コロナウイルス感染症により研究計画全体に支障が生じ、次年度に使用額が生じることになった。
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FASEB J
巻: 34 ページ: 16601-16621
10.1096/fj.202001113R