研究課題/領域番号 |
16K09997
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三橋 隆行 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80338110)
|
研究分担者 |
高橋 孝雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80171495)
久保 健一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20348791)
芝田 晋介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70407089)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 小児神経学 / 神経発生 / 大脳皮質 |
研究実績の概要 |
高次脳機能の中枢である大脳皮質の正常な発生においては、胎児側脳室周囲にある神経幹細胞の分裂増殖・分化誘導が秩序だって進行することが極めて重要である。我々の複数の先行研究の結果から、遺伝子異常や有害な環境因子・薬物の胎内曝露により神経幹細胞の細胞分裂動態に異常を生じ、大脳皮質構築異常を生じることが判明している。さらに、それら病態の背景に特定の遺伝子配列に依存しないエピジェネティクス機構が関与していることが強く示唆されている。そこで本研究では、ここ数十年間、母体・新生児両者の体重減少から示唆されており、日本での増加が懸念されている胎内低栄養状態が神経幹細胞の細胞分裂動態に与える影響についてマウスで解析した。具体的には、胎内低栄養状態を作成するにあたり至適な投与カロリー量を検討し、これらの条件下で胎児内神経幹細胞の細胞周期長をDNA合成期のトレーサーであるBrdUを用いた累積曝露法により、また分化誘導の確率をIdU、BrdUの2時間コホート法によって解析した。その結果、1)胎生1日目より母体栄養摂取量を通常摂取量の60%に制限すると胎生11日時点で胎児が確認できない点、2)大脳皮質内神経細胞の産生が開始される胎生11日より母体栄養摂取量を60%に制限すると、胎生14日目の細胞周期長に変動を認めるも分化誘導の確率には変動がない点を明らかにした。さらに、低栄養状態が長時間になるほど、分裂期の神経幹細胞においてオートファジーマーカーであるLC3の発現量が増加する点を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画のみならず、電子顕微鏡による解析など新規実験についても開始できているため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画していた実験(行動解析)を前倒しで実施し、さらに低栄養状態に曝された神経幹細胞を電子顕微鏡で観察する計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初マウス摂取量を自動計測可能なケージを購入する計画であったが、別の安価な市販の自動給餌器を応用して実験が可能であったことからケージ購入が不要となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
免疫組織染色用の種々の抗体類の購入、電子顕微鏡用消耗品に充当させる計画である。
|