研究課題
レット症候群(RTT)は女児で精神発達遅滞を呈する疾患で、X染色体上のMeCP2遺伝子(MeCP2)の変異が主因である。しかしMeCP2欠損によるRTT病態の発症メカニズムは不明であり、発病メカニズムの解明、治療法の確立が切望されている。本研究はMeCP2欠損したRTTモデル細胞、マウスにおいて、ミクログリアの病態における役割の解明し、ミクログリアの制御および、ES/iPS細胞由来ミクログリアを移植、機能制御することによって、治療薬探索や新規の移植再生療法の開発を目的としている。本年度は、MeCP2欠損ES細胞およびコントロールの野生型(WT)ES細胞を共培養法によってミクログリア・マクロファージ様細胞の分化誘導を行った。その結果、WT-ES細胞同様にMeCP2欠損ES細胞はミクログリア様の細胞に分化することが確認できた。定量PCR法による主なミクログリアマーカー遺伝子の発現は大きな変化が認められなかったため、分化誘導後、経時的な分化誘導細胞における遺伝子発現をマイクロアレイによって詳細に解析した。その結果、2倍以上または1/2倍以下に発現変化する遺伝子の同定に成功した。現在、RTT病態に関わる可能性が考えられる遺伝子を選別し、病態モデルマウスにおける遺伝子、蛋白の発現を解析することで、ミクログリアの病態に及ぼす影響を調べている。
2: おおむね順調に進展している
ミクログリア・マクファアージ様細胞に分化誘導後、マイクロアレイ解析を行った結果、明らかに発現変化を示すいくつかの遺伝子の同定に成功し、今後、RTT病態に関わるMeCP2欠損ミクログリアの役割解析をする足がかりができた。
マイクロアレイ解析によって得られた明らかに発現変化を示す幾つかの遺伝子を中心に、ミクログリア、RTTモデルマウスにおける発現を解析することで、RTT病態メカニズムの解析を行う予定である。
病態に関わることが考えられる因子に対するいくつかの抗体の購入を予定していたが、抗体の使用条件の検討に時間がかかったものがあり、追加の購入を控えた物品が出たことから次年度繰り越し金が発生した。
抗体の使用条件を検討し、無駄の無いように良い抗体の購入を計画している。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
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