研究課題/領域番号 |
16K10003
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
八ツ賀 秀一 久留米大学, 医学部, 講師 (10454919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | GDF15 / FGF21 / バイオマーカー / ミトコンドリア病 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア病がPrimaryに脱髄を認めることは少ないが、Secondaryに脱髄を認めることが報告されている(Carvalho KS. Mitochondrial dysfunction in demyelinating diseases. Semin Pediatr Neurol. 2013)。脱髄疾患の代表として、多発性硬化症患者(n=9)、Disease controlとして視神経炎(n=4)、辺縁系脳炎(n=9)のGDF15とFGF21を比較検討した。 GDF15において、多発性硬化症は892.7±896.4 pg/mL、辺縁系脳炎は774.5±745.6 pg/mL、視神経炎は685.0±386.5 pg/mLであった。3群において有意差は認めなかったが、脱髄疾患である多発性硬化症で高めの傾向を認めた。FGF21において、多発性硬化症は426.7±622.3 pg/mL、辺縁系脳炎は198.2±131.4 pg/mL、視神経炎は107.2±104.1 pg/mLであった。3群において有意差は認めなかったが、GDF15同様に脱髄疾患である多発性硬化症では高い傾向を示した。 GDF15とFGF21の相関は、多発性硬化症でr2=0.988、辺縁系脳炎でr2=0.909視神経炎でr2=0.445であった。 以上より、多発性硬化症のような脱髄疾患では、GDF15もFGF21もともに上昇傾向を示すと考えられる。辺縁系脳炎では、一部が脱髄を起こすことが知られており、その影響を受けている可能性が示唆される。視神経炎では、GDF15とFGF21の相関は前2者と比べ高くなく、炎症の部分が前2者よりも狭い範囲のため、誤差が大きくなっているのかもしれない。 ミトコンドリア病と鑑別する際に、GDF15やFGF21は、脱髄疾患もしくは脱髄を伴うような状態のときには、高めの数値をとるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多発性硬化症をはじめとする脱髄疾患のGDF15、FGF21を測定できている。交絡因子として脱髄を起こす病態では、GDF15、FGF21ともに上昇傾向があることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
グリア細胞に病変を来す疾患のGDF15、FGF21を測定することで、脳細胞のどこのダメージでGDF15、FGF21が上昇するかを確認する。今後は髄液のGDF15、FGF21を測定することで、脱髄疾患との交絡性を確認していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
検査検体が予想よりも少なかったため未使用額が生じたが、平成30年度は研究の最終年度として、早めに実験・検査用品の購入を進め、また学会にも積極的に参加し情報収集を行う予定であり、未使用額を含めた助成金の使用は可能だと考える。
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