今回の研究の対象は、正常コントロール、ミトコンドリア病としてMELAS、CPEO/KSS、Leigh症候群、疾患コントロールとして多発性硬化症、視神経炎、辺縁系脳炎を用いた。疾患群で有意と考えられる変数は、年齢、MCH、BUN、Cr、FGF21が有意であった 。一方、ミトコンドリア病群では有意と考えられる変数は年齢とMCHCであったがどちらも相関は弱かった。解析は、変数として年齢、身長、体重、 WBC、RBC、Hb、Ht、 MCV、MCH、MCHC、PLt、ALT、ALT、LDH、ALP、γGTP、BUN、Cr、eGFR、乳酸、ピルビン酸、FGF21を使用した。単回帰解析で有意に関係があるのは年齢、MCH、BUN 、Cr、FGF21だった。GDF15と弱い相関 があるのはFGF21(0.56)、MCH(-0.42)、BUN(0.51)、Cr(0.45)だった。BUN、Crは年齢と関係なく有意な変数であることが分かった 。疾患コントロールより、多発性硬化症のような脱髄疾患では、GDF15もFGF21もともに上昇傾向を示す。辺縁系脳炎では、一部が脱髄を起こすしその影響を受けていることが示唆される。視神経炎では、GDF15とFGF21の相関は高くない。疾患コントロール群の疾患とミトコンドリア病を鑑別するときには、GDF15やFGF21は脱髄疾患もしくは脱髄を伴うような状態のときには、高めになるため注意が必要である。
|