研究課題
若年成人であるAYA(adolescence and young adult)世代のがんは生物学的に小児や成人と異なる特性を持ち、治療成績が低い傾向がある。このためAYA世代のがんの治療成績を上げるためにその生物学的特性を探求することが必要である。固形腫瘍に関しては本研究ではまず、小児がんである神経芽腫において患者腫瘍を用いてRNAシークエンスを行った。その結果、19歳の症例よりチロシンキナーゼ遺伝子の異常を見出した。チロシンキナーゼはがん発生に関わっており、本研究で見出したチロシンキナーゼ遺伝子異常を解析することにより新規分子標的療法の開発につながることが期待される。さらに、神経芽腫細胞株を用いた低分子化合物のスクリーニング試験を行い数々の低分子化合物が造腫瘍性を障害することを見出した。材料とした低分子化合物はがんに効果を示す既知のものであり、阻害経路が明らかになっていることから、神経芽腫の発生における新規の経路が発見されることが期待された。結果は、これまで神経芽腫に既報であるm-TOR,RAS、survivine及びオーロラキナーゼ経路を疎外する分子標的薬のの他、様々なチロシンキナーゼ阻害剤が神経芽腫細胞株の造腫瘍性を阻害した。一方、造血器腫瘍においては小児白血病の治療成績が改善されたことにより予後は格段に進歩をしたが、晩期障害に苦しむ患者も増えている。この中でも2次がんの発生は著しく生活の質を落とすので発生の予防が急務である。2次がん特に白血病を起こす原因のひとつにMLL融合遺伝子があり、MLL融合遺伝子を持つ白血病の生物学的特性を探求することで治療につながる可能性がる。本研究では乳児白血病症例を用いて新規ARID5B-MLL融合遺伝子を見出した。ARID5BのSNPは小児急性リンパ性白血病の因子と考えられておりこの融合遺伝子は白血病発症に関わることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
AYA世代の神経芽腫において新規チロシンキナーゼ遺伝子異常を見出した。チロシンキナーゼは腫瘍発生に深く関わっており本研究によって見出された異常は神経芽腫発生に関わると期待されtる。また、見出されたチロシンキナーゼ遺伝子の異常について融合遺伝子の全長を組み込んだベクターを作成し、今後細胞レベルでの機能解析を行い、造腫瘍性の検討を行う。神経芽腫細胞株を用いた低分子化合物スクリーニングで候補となった化合物の抽出に成功しており、について造腫瘍性の阻害効果を濃度依存性及び時間依存性に再検討を行うい、候補化合物が選定されている。
AYA世代の神経芽腫において見出されたチロシンキナーゼ遺伝子の異常について融合遺伝子の全長を組み込んだベクターを作成して細胞レベルでの機能解析を行い、造腫瘍性の検討を行う。神経芽腫細胞株を用いた低分子化合物スクリーニングで候補となった化合物について造腫瘍性の阻害効果を濃度依存性及び時間依存性に再検討を行う。さらに候補化合物を絞り込んで腫瘍モデルマウスに投与を行いその効果を検討する。
試薬、実験器具などの価格キャンペーンなどがあり、予定より安価で消耗品を購入できたため
次年度実験の物品購入に使用予定
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