研究課題
初年度に作成したNKp44の免疫グロブリン様ドメインを抗原認識部位に用いた第一世代キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子を、4-1BBシグナルドメインあるいはCD28シグナルドメインを挿入することにより第2世代化した新たな遺伝子を複数作成し、比較検討した。健常成人由来末梢Tリンパ球、およびJurkat-T細胞にNKp44-CARコンストラクトを遺伝子導入し、その発現パターンを確認した。NKp44-CARのヒト初代培養T細胞における機能評価では、ヒトprimary T細胞をIL-2存在下(200単位/ml)で抗CD3/抗CD28ビーズにより刺激し、レトロネクチン(Takara)存在下に48-72時間後にレトロウイルス液に暴露することでCAR-T細胞を作成した。ヒト活性化NK細胞への遺伝子導入は、K562-mb15-41BBLを用いた増幅培養系を用いて行った。T細胞、NK細胞のいずれにおいても、高い効率で(通常70%以上)遺伝子導入を達成できた。発現量はT細胞とNK細胞で異なる可能性があり、両者でそれぞれ検討したところ、実際に、構造からは予期できない大きな発現量変化が観察された。その後の機能解析は、基本的にCAR発現T細胞(CAR-T細胞)を用いて行った。各種の腫瘍細胞株と共培養し、細胞障害活性、CD107aアッセイ、サイトカイン産生能、活性化能(CD69, CD25)を比較した。前駆B細胞型急性リンパ性白血病(ALL)やリンパ腫細胞だけでなく、T細胞型ALLや急性骨髄性白血病に対しても細胞傷害活性を発揮した。さらに、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞、ユーイング肉腫細胞、脳腫瘍(GBM)細胞など、広範囲の固形腫瘍(肉腫)に対しても細胞傷害活性を示すことを確認した。
2: おおむね順調に進展している
CAR遺伝子作成は計画通りか、むしろ予定よりも早く進んでいる。一方、NK細胞培養系の新規開発は遅れ気味である。総合的に判断し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
当初の計画にしたがって進める。特許出願中。
消耗品の消費が予想より遅かったため、後半での物品購入が減少した。差額は大きくないため、全体の研究費使用計画への影響は軽微である。
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