研究課題
難治性小児脳腫瘍疾患に対するがん免疫療法として、キメラ抗原受容体を応用したCAR T細胞を用いる方法と、腫瘍ライセートやがん抗原ペプチドから患者由来の獲得免疫を誘導する双方の手法について検討することとした。本来であればHLAの拘束性のないCAR T細胞療法が有利に働くと考えていたが、CAR T細胞療法の固形腫瘍への効果の難しさや近年の免疫ポイントチェック阻害薬の有効性などから、患者体内で獲得される抗腫瘍免疫についても可能性を再度検証することした。いずれの手法を用いる場合においても対象抗原の設定が重要であり、なるべく他の小児がん種にも汎用性のあることが望ましいと考えられた。また、腫瘍細胞の免疫学的回避を抑制する意味でも複数の抗原設定が重要であると考えられた。複数の小児がんをも対象としうる腫瘍組織の免疫染色の手法を構築するとともに、各疾患における染色体異常や遺伝子異常の特徴を検証している。免疫細胞が有効に作用するためにも、細胞に抑制的に作用する腫瘍周囲のサイトカイン状態や、培養に至適となるサイトカインの条件についても検討する事案である。前年度にひき続いてWT1は標的の一つとして利用できうると考えられたことから、WT1を発現しているがん種をもとに免疫組織染色、WT1特異的ELIspot法、WT1特異的Tetramer解析について手法の確立を検証した。また、将来的に細胞輸注を検討した際に発症しうる副反応については現在の輸血療法をもとにモニタリング方法ならびに評価基準について予備的に検討した。特に小児においては輸血細胞療法領域においてもエビデンスの構築がまだ十分ではないため、実臨床で既に用いられているマテリアルを確立させ、今後の臨床に応用することも考慮している。
3: やや遅れている
本来の計画では該当年度に細胞株を用いた検証が予定されていたが実際には到達しなかった。一方、将来の実臨床に向けた応用性の周辺整備がすすめられたと考えられた。ただ現時点では総合的にやや遅れていると判断した。
本研究の目的の一つとして実臨床応用に向けた下準備も重要な計画である。将来的にCell Processing Center(CPC)において、再生医療等安全性確保法に基づいて臨床研究が実施できるような品質管理や調整方法の構築についても引き続き検討していく。
今年度は基礎的な検討となる品質検証、検査手技の確認、また将来的に実際の臨床応用の際に必要と考えられる下準備やデータの構築に時間を費やしたので細胞株を用いた検証時間が足りず次年度使用額が生じた。遅れが生じた分については次年度に実施する予定とした。
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