研究課題/領域番号 |
16K10024
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川本 典生 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50397337)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
キーワード | 抗原特異的T細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は、一部計画を変更して、以下の2点の検査の条件検討をすすめた。 1.放射性同位元素を使わないリンパ球刺激試験の実施条件の検討 これまでリンパ球刺激試験は放射性同位元素で標識したサイミジンを刺激したリンパ球に添加してその取り込みを放射線の検出をすることで検討が行われてきたが、放射性同位元素を使うため特別な実験施設が必要となるなど課題もあった。今回の研究期間に放射性同位元素を用いない方法としてBrdU ELISA法を用いて放射性同位元素を用いないリンパ球刺激試験の条件検討を行った。BrdUはチミジンアナログで核内に取り込まれるため、DNAの合成を反映する。抗BrdU抗体を用いて化学発光法を用いて検出することで、細胞増殖の評価に用いられてきたが、リンパ球刺激試験としての検討はこれまでに十分に行われていない。今回の研究期間内に細胞数や陽性コントロールとしてのPHA刺激の必要濃度などの設定が終了し、実際の患者さんでの検討も開始されている。当初BrdU抗体などを選定して条件検討を進めたが、既報の条件にあわせて実施しても良好な結果が得られず、最終的にBrdU ELISAの市販のキットを用いることで、良好な結果が得られるようになった。 2. ELISpot法による食物アレルギー患者の抗原特異的T細胞の解析 昨年度に取り組み始めたELISpot法について、条件検討を繰り返し、食物アレルギー患者において、ELISpot法を実施できるようにした。IFN-γ, IL-4のDual color ELISpot法を用いており、PHA刺激においては、IFN-γ, IL-4ともに強い反応を示す一方、現時点では食物アレルゲンに対しての十分な反応を示す人が得られておらず、対象者を募って検討をすすめているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ球刺激試験は反応する患者さんと反応しない患者さんがあることはこれまでにも経験されてきていることであるが、今回の検討の中では、条件設定が進んでから、複数の患者さんにおいて実験を行なっているものの、目的としている食物アレルゲンに対して、十分に反応を示す検体が得られておらず、最終目的の達成には至っていない。しかし昨年度が後期の追加採用であったことから、条件設定などが本年度にずれ込んだことから、概ね想定通りの進行であると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
リンパ球刺激試験、ELISpot法ともに、対象を広げて検討を進めていく。陽性が得られた場合に、各ペプチドに対する反応などを見ていくなどのさらに進んだ検討を行う。また、BrdU ELISA法については、他の一般的な方法と比べてはかなり高感度であると考えられるものの、さらに高感度化ができるかどうかについてや、その他の方法についても検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度が後半のみであったため、実験の進行などの一部を変更して行なっており、試薬類の購入時期が変更となった。 次年度の実験に必要な試薬類の購入に充てる予定である。
|