研究課題
Cyclophosphamide (CY)大量投与時に生じる急性心筋障害は大きな問題となっているが発生機序の詳細は未だ不明で、確立された治療法もない。我々は以前の研究で、CY心筋障害の主因はその代謝物の1つであるacroleinである可能性を見出した。CYはアルデヒド脱水素酵素1 (aldehyde dehydrogenase 1; ALDH1)を介して細胞毒性の低いo-carboxyethylphosphoramide mustard (CEPM)に代謝される。一方でALDH1を介さない場合はacroleinが産生する方向に代謝が進行する。このことからALDH1はCY心毒性発症に重要な役割を果たしているのではないかと考えた。マウスを8匹ずつ2群に分け、一方はALDH1遺伝子ノックダウン(KD)群、もう一方はControl群とした。KD後、CYあるいは生理食塩水(NS)を腹腔内投与し、1、3時間後に血漿中のCY及びその代謝物(4-hydroxycyclophosphamide; HCYとCEPM)の濃度を測定した。またCY投与から24時間後の血清中のacrolein濃度をenzyme-linked immune sorbent assay (ELISA)法で測定した。その結果、KD/CY群のCEPM濃度はControl/NS群に比べ低値を示した。しかしacrolein濃度はCY投与により有意に高値を示したもののKD群とControl群間に有意差は見られなかった。以上のことからin vivoでALDH1をKDしてもacroleinの産生に差はないことが明らかになった。しかしCY投与により血清中のacrolein濃度が有意に上がり、病理組織学的検査では心筋障害病変を認めたことからacrolein産生系だけではなく消去する系にもCY心筋障害を誘導する要因があることが示唆された。
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