研究課題
我々は筋特異的に発現するmicroRNAであるmiR-206を用いた横紋筋肉腫の新規血清、髄液診断法を開発した。これは、腫瘍に発現しているmicroRNAが、腫瘍から分泌され、血液、髄液に移行することを利用したものである。JCCG横紋筋肉腫委員会(JRSG:日本横紋筋肉腫研究グループ)では、平成28年以降に開始された全リスク群の臨床試験において、血清、髄液中のmiR-206を測定し、①血清miR-206の発現(診断時、治療に伴う変化)と予後の相関、②髄液miR-206の発現(傍髄膜原発例の診断時)と中枢神経再発頻度の相関に関する解析を行う。本研究では、現在のリスク分類に血清・髄液miR-206の発現を加えることの意義を明らかにし、血清・髄液miR-206の発現に基づいた横紋筋肉腫の新規治療戦略の構築を行うことを目的とする。昨年度に引き続き、①デジタルPCRを用いた血清・髄液miR-206定量の基礎検討と、②前向き研究のための検体の収集、定量を実施した。①デジタルPCRを用いた血清・髄液miR-206定量の基礎検討:昨年度の検討より、デジタルPCRの検討ではcDNAレベルでのコピー数、リアルタイムPCRを用いた検討ではRNAレベルのコピー数が算出されるため、数値が異なるという問題が生じた。そのため、RNAコピー数が既知の標準溶液を用いて、デジタルPCR法、リアルタイムPCR法のそれぞれによりコピー数を定量した。デジタルPCR法でのcDNAコピー数とリアルタイムPCR法でのRNAコピー数の間に一定の相関を認めた。今後、予後との相関を含め、デジタルPCR法とリアルタイムPCR法の定量法の違いについて検討が必要となる。②前向き研究のための検体の収集、定量:JRS-II研究においては、全研究期間内で37例の登録症例があり、登録症例の血清、髄液検体の収集、解析を行った。
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京都府立医科大学雑誌
巻: 128 ページ: 115-126
doi:10.32206/jkpum.128.02.115