研究課題
iPS細胞疾患モデルを用いてガンマグロブリン(IVIG)不応川崎病の病態解明を目指し、本研究開始した。IVIG不応およびIVIG反応川崎病患者から体細胞を採取しiPS細胞を作製、さらにiPS細胞を血管内皮細胞へ誘導し、RNA-sequencing解析を行った。解析の結果、IVIG不応川崎病患者由来iPS細胞から誘導した血管内皮細胞において、CXCL12遺伝子の発現が有意に上昇しており、Gene Set Enrichment Analysis (GSEA)では、IL-6関連遺伝子群の発現が有意に上昇した。IVIG不応や川崎病の重症度に密接に関連しているCXCL12を発見し、IL-6関連遺伝子群もこれらの病態に深く関与していることを見出した(Circ J, 2017)。今回発見した病態関連候補分子について、in vitroとin vivoの実験系、臨床検体などを用いた検証を行うことによって、新規の治療標的分子となり得るかの検証を行っている。「川崎病患者iPS細胞由来血管内皮細胞および単球を用いた細胞遊走アッセイの確立」を進めており、健常人から分離した末梢血単核球、川崎病患者iPS細胞由来血管内皮細胞を用いた細胞遊走アッセイの予備実験は既に確立できている。IVIG不応およびIVIG反応川崎病患者ならびに健常対照者iPS細胞由来血管内皮細胞をTranswellへmonolayerに播種し、TNFa刺激下においてヒト末梢血単核球のtransmigrationの程度を比較した。その結果、TNF刺激下でのヒト末梢血単核球のtransmigrationは健常人に比較して川崎病患者(IVIG反応例、不応例を含む)iPS細胞由来血管内皮細胞で透過性が亢進した。現在、再現性の確認を行っている。
3: やや遅れている
川崎病患者あるいは健常対照者iPS細胞由来の血管内皮細胞をtranswellにmonolayerに播種し、末梢血単核球のtransmigration実験を行っているが、単層に播種する手技が非常に困難であること、血管内皮細胞への誘導ならびに細胞分離後の培養に合計2週間を要することから、実験の進捗にやや遅れを生じている。
今回発見した病態関連候補分子について、in vitroとin vivoの実験系、臨床検体などを用いた検証を行うことによって、新規の治療標的分子となり得るかの検証を行っている。実験補助員を雇い入れることにより、実験の進捗を強く推進するとともに(既に雇用を開始している)、積極的に受託業者に依頼する方針を取りたいと考えている。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
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