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2017 年度 実施状況報告書

新生児・乳児に特化した舌下粘膜ワクチンアジュバントの開発と分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K10039
研究機関大阪市立大学

研究代表者

徳原 大介  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60448751)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードワクチン / アジュバント / ノロウイルス / 臍帯血
研究実績の概要

東京大学医科学研究所炎症免疫学分野から分与いただいたノロウイルスのVLPを用いて臍帯血由来単球に対する免疫応答を評価したが、対照群と比較して有意なサイトカイン産生は得られず、TLRを刺激するには抗原性が非常に弱いことが確認され、アジュバントの添加が不可欠であることが明らかとなった。新生児・乳児に特化したアジュバントに関しては、これまでの我々の研究成果(Nohmi K, et al. J Pediatr.2015:167:155)から、新生児の自然免疫を成人と同等に安全に活性化するには酵母の構成成分であるZymosanが適していると報告してきたが、Zymosanが抗原提示機能の活性をどのように増強するのかは不明な点が多く、臍帯血由来単球の表面分子発現について解析を重ねたところ、Zymosanは成人血由来の単球と同様にHLA-DR、CD80、CD86といった抗原提示に関わる表面分子の発現を増強することが明らかとなった。一方、対照群に対する刺激群における表面分子の発現増強率は臍帯血と成人血の間で差異はなかったものの、HLA-DRとCD80の最終的な発現強度は臍帯血由来の単球の方が成人血由来の単球よりも弱く、その原因として刺激前の細胞における本来の表面分子の発現がHLA-DRとCD80に関しては臍帯血が成人血よりも低いことも明らかとなった。一方、CD40やCD86、CD11cは臍帯血と成人血間で有意な差は見られなかった。以上から、新生児の自然免疫応答は成人よりも幼若であると一般的に理解されているが、その原因の一つとして、本来のHLA-DRならびにCD80の発現が低いことが関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新生児の抗原提示細胞を効果的に活性化するアジュバントしてのZymosanの作用についてサイトカインのみならず、表面分子発現についても重要な知見が得られ、ノロウイルスのアジュバントとしての科学的エビデンスの構築を進めることができている。

今後の研究の推進方策

新生児の単球におけるHLA-DRやCD80といった抗原提示に関わる表面分子の元来の発現が低い点に関して、免疫抑制物質であるアデノシンやその受容体であるアデノシン受容体の発現についても検索を進め、ノロウイルスのワクチンアジュバント開発における科学的基盤構築を進めていく

次年度使用額が生じた理由

研究途上であり、平成30年度の研究を円滑に実施するために必要な消耗品の購入ならびに成果発表に必要な費用として財源を確保している。平成30年度はこれまでの研究成果の再現性確認、論文化を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Challenges in developing mucosal vaccines and antibodies against infectious diarrhea in children2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Tokuhara
    • 雑誌名

      Pediatrics International

      巻: 60 ページ: 214-223

    • DOI

      10.1111/ped.13497

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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