研究実績の概要 |
平成30年度(最終年)は主に、作製した3種類の組換えウイルス(MVAIK/MpF, MpHN, MpNP)、およびキメラウイルス(MVAIK/MpF_HN chimera)の免疫原性評価のため、動物感染実験を行った。感染実験を行うにあたり、コットンラットがムンプスウイルス感染実験を施行可能かの評価を行った。ムンプスワクチン株および野生株を筋注、経鼻接種をし、各ウイルス接種群は、コントロール群と比較して体重増加が抑制されることが明らかとなった。LAMP法、Real time PCRを用いたゲノム解析を行い、ウイルス接種後のコットンラット各臓器(腎、唾液腺、膵臓、精巣・卵巣、全脳、肺)でムンプスゲノムが検出されることを明らかにした。さらに、前年度に選択した各ペプチド刺激条件下での脾臓細胞を用いたCD8+IFNγ陽性細胞を解析し、接種後2~3週で陽性細胞が上昇することを明らかにした。現在、組換えウイルスおよびキメラウイルスを用いた感染実験を施行中である。 また、キメラウイルスのPM junctionにムンプスウイルスNタンパク領域(1650 bp)を挿入した新規キメラウイルス(MVAIK/insert MpNP/MpF, MpHN chimera)の作製に取り掛かった。現在全長プラスミド作製中である。 当初の研究計画で、組換えウイルスおよびキメラウイルス作製は予定通り進行し、感染性ウイルスの回収後に蛋白発現系等の性状確認を行い、予想された結果を得られた(平成28~29年度)。ワクチン候補としての免疫原性確認に際し、平成29年度に施行した動物実験では得られた抗体価が非常に低値であった。このため再度high titerウイルスの回収を試みたが非常に時間を要し、平成30年度に施行することとなった。このため予定された神経親和性解析は、安全性解析とあわせ今後施行予定である。
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