研究実績の概要 |
近年、先進国を中心にアレルギー性疾患が急激に増加しており世界的な医療問題となっているが、日本においても小児科領域では、最近20年で乳幼児の食物アレルギー、アトピー性皮膚炎が急増している。この変化の背景には近年腸内細菌の関与が示唆されている。本研究は、腸内細菌とアレルギー疾患の関連性を検討することを目的としている。方法としては、出生時からの3歳までに定期的にアレルギー検診(出生時、1か月、3か月、6か月、12か月、24か月、36か月)を行い、検診の際に血液サンプル(アレルギー検査の希望者が対象)と便サンプルを提供していただいている。(本研究は日本医科大学附属病院の倫理委員会の承認を得ている。) これまで約100症例の登録をいただいている。約1/3は12か月までの検診が終了している状況である。また、約1/5ほどの症例でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー疾患の発症を認めている。
アレルギーに関する問診と診察評価(特にアトピー性皮膚炎ではSCORAD の記録病院内の血液検査でアレルギー評価項目の記録(IgE-RIST,IgE-RAST(食物、吸入抗原)) 食物アレルギーはアナフィラキシーの有無、末梢血好酸球数、皮膚テストで評価しました。原因食物が判明しその食物の除去を指導しました。血液中のバイオマーカーをELISA にてIL-4,IL-5,IL-13,IL-17,IL-25,IL-31,IL-33, TSLP, periostin,トリプターゼ、ビタミンD、TARCを検討中。今後は、腸内細菌叢の解析、アレルギー発症に関与する腸内細菌の同定と、その病態的意義に関して検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
登録症例数とアレルギー発症者数は今後の検討を行っていくうえで十分な数になっていると考える。また、腸内細菌叢の解析はまとまったサンプル数での解析となるが、サンプル数が得られている現状から今後は腸内細菌解析を進めていく予定である。
血中のバイオマーカーをELISA で検討中:IL-4,IL-5,IL-9,IL-13,IL-17,IL-25,periostin など。腸内細菌細菌叢解析を行う。 腸内細菌叢の結果と臨床評価、問診票記録を元に評価方法を決定する。
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