研究課題
本年も引き続き、全国調査として収集されたM.pneuomoniaeにおけるダイレクトシークエンス法によるM.pneuomoniae耐性遺伝子保有の有無、キノロン系およびテトラサイクリン系薬の薬剤感受性試験、P1血清型のタイピングとしてのRFLP-PCR方の施行を継続した。また、本年より、耐性機構解明の手掛かりとして、臨床分離のマイコプラズマ感受性M.pneuomoniae株に対し低濃度のマクロライド系薬添加による培養実験(セレクション実験)を開始した。2019年1月から2019年12月まで肺炎マイコプラズマ陽性44検体、マクロライド耐性率は21.6%であり、マクロライド耐性遺伝子変異は全てA2063G変異であり、流行は落ち着き、マクロライド耐性率は低く推移していた。キノロン系薬やテトラサイクリン系では、明らかに最小発育阻止濃度(MIC)の高い株は見られなかった。P1タンパクによる分子疫学的解析では、P1Type2とType2サブタイプが88.2%と大勢を占め、マクロライド耐性株は、少数分離されたType1の全てとType2の1株のみであり、近年と同様の傾向であった。セレクション実験では、継代培養により元の10倍以上のMICにて成育する株が散見され、これらの株に対しシークエンス解析を施行したところ、A2063G変異株はほとんど検出されず、C2617Tなど他の遺伝子変異株が大勢を占めた。今後、全国調査については引き続き調査を行い、また、セレクション実験については、低濃度マクロライド系薬添加により発育した株につき、薬剤無添加の培地に培養し増菌させ、そこから10コロニーほど抽出し、それぞれシークエンス解析を行う実験を行って行きたい。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Antimicrob Agents Chemother
巻: 63 ページ: 2517-2518
10.1128/AAC.02517-18