研究課題
新生児期の呼吸障害に引き続く慢性的な呼吸障害の総称である慢性肺疾患発症の危険因子として出生前後の感染症の関与が指摘されている。われわれは、出生時より人工呼吸器管理を必要とした新生児の気道分泌物を定期的に採取し、細菌の16S ribosomal RNA遺伝子をPCR法によって増幅して得られた産物をクローニングし、その塩基配列から細菌を同定する手法を用いて、慢性肺疾患に進展に対する細菌学的要因を明らかにし、それを予防する最適な治療の確立を行うことを目的とする研究を行った。出生時から呼吸障害を呈し、人工呼吸器管理を行った早産児を対象とし、出生時は胃液を採取し、その後は抜管されるまで定期的に気道分泌物を採取した。出生直後に採取した胃液を解析すると、母体に切迫兆候があり早産となった児の約40%で、PCR法の解析結果から細菌の存在が示唆された。この検体をさらに解析すると、Lactobacillus属の細菌が多くの症例で検出されていた。しかし、Lactobacillus属の細菌は、その後も人工呼吸器管理されている症例の気管洗浄液からは検出されず、慢性肺疾患発症への関与を証明することはできなかった。一方、解析できた症例数は少なかったものの、長期間にわたる人工呼吸器管理を必要とした症例の気管分泌物からは、Staphylococcus epidermidisが検出される頻度が高く、慢性肺疾患発症との関連が疑われた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Microbiology, Immunology and Infection
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.jmii.2019.01.002
Journal of Infection and Chemotherapy
巻: 25 ページ: 376~378
10.1016/j.jiac.2018.12.001