研究課題/領域番号 |
16K10052
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
市川 仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30201924)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | AML / 小児白血病 / 予後因子 / 治療選択 / バイオマーカー / 遺伝子発現 / EVI1 / MEL1 |
研究実績の概要 |
本研究は、小児AMLのマイクロアレイ遺伝子発現プロファイル解析から研究代表者らが見出した予後不良マーカー「EVI1遺伝子及びMEL1遺伝子の高発現」について、リスク分類及び造血幹細胞移植治療選択における有用性を検証するとともに、その予後不良に至る作用機構を明らかにすることを目的とするものである。 EVI1とMEL1は相同遺伝子であり、ともに転写開始点・スプライシングの違いにより、PRドメインあり[PR(+)]/なし[PR(-)]の異なるisoformが産生される。両者は機能的に異なることが示唆されており、小児AMLにおいて高発現しているEVI1、MEL1遺伝子がどのようなisoformであるのかを、RT-PCR、RNAシークエンシング、nCounterアッセイなどにより検討した。その結果、小児AMLのEVI1高発現症例ではPR(+) isoformを主に発現している症例とPR(-) isoformを主に発現している症例が見られた。MEL1高発現症例では全例PR(+) isoformを主に発現していた。 EVI1遺伝子及びMEL1遺伝子の高発現を治療層別化因子として臨床応用する際には、高い精度と再現性が求められる。一般に、定量RT-PCRにおいて、長期にわたってコンタミネーションを排除し高い再現性を持ってアッセイを行うことは簡単ではない。そこで、より簡便で、PCR反応を経ずにRNA検体から直接測定可能なnCounterシステムを用いることを検討した。その結果、nCounterアッセイは、EVI1遺伝子及びMEL1遺伝子の発現量の測定においてマイクロアレイ、定量RT-PCRと高い相関性を示し、再現性も高いことが示された。nCounterアッセイは、臨床実装しうる検査法として有望と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年開始が予定される次期小児AML多施設共同臨床試験において「EVI1遺伝子及びMEL1遺伝子の高発現」を治療層別化因子として導入することを提案中であり、そのアッセイ系の構築に注力したため、本年度予定していた「マウス白血病モデル系を用いたEVI1/MEL1高発現が白血病の病態に与える影響の解析」等があまり進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次期小児AML多施設共同臨床試験において「EVI1遺伝子及びMEL1遺伝子の高発現」を治療層別化因子として導入することを最優先に考え、nCounterアッセイ系の分析的妥当性、臨床的妥当性の検証に注力する。まず、AML-05研究登録症例の検体を用いた検証を予定する。この検証の終了後、当初計画していた「マウス白血病モデル系を用いたEVI1/MEL1高発現が白血病の病態に与える影響の解析」等を、再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
AML-05研究登録症例の検体を用いた検証用に、一部取り置きした。
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次年度使用額の使用計画 |
AML-05研究登録症例の検体が準備でき次第使用する予定である。
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