研究課題/領域番号 |
16K10057
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
橋本 多恵子 山形大学, 医学部, 助教 (30507629)
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研究分担者 |
沼倉 周彦 山形大学, 医学部, 講師 (00400549)
早坂 清 山形大学, 医学部, 名誉教授 (20142961)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 / 巣状分節性糸球体硬化症 / エクソーム解析 / 次世代シーケンサ |
研究実績の概要 |
小児期ネフローゼ症候群の約80%はステロイド感受性で予後良好であるが、残りの20%はステロイド抵抗性(SRNS)でありその組織像は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を呈し、予後不良で小児期腎不全の20%を占める。現在までに20個以上のSRNS・FSGSの原因遺伝子が同定されているが、欧州で多いとされる遺伝子変異症例の報告がわが国ではほとんどなく、アジア特有の病因遺伝子や病態関連遺伝子が存在する可能性があるが、現時点ではSRNS・FSGS患者の70%以上は原因不明である。以上より日本人のSRNS・FSGS患者を対象に、次世代シーケンサを用いて全エクソーム解析を施行し、既報の遺伝子変異の確認をするとともに、新たな病因遺伝子の同定を試みることを目的としている。病因が解明されれば、免疫抑制剤などの治療方法の選択、移植後再発の予測や遺伝カウンセリングなどの臨床的に有用な情報が得られる。 本年度は、さらに対象患者を11名増やし、それぞれについて、エクソーム解析を施行した。既報の遺伝子変異の有無の確認をまず施行したところ、さらに1家系に既報遺伝子における、既報遺伝子変異が検出された。 また、「既報病因遺伝子」として当初スクリーニングしていた遺伝子は計26遺伝子であったが、現時点(2017年)では50個以上に上るため、すでにスクリーニングした24例のうち、既報遺伝子変異が検出されなかった症例について再度検索したところ、新たに2人に近年病因遺伝子として報告された遺伝子の新規の遺伝子変異が検出されたため、該当患者の家族検体を収集し、サンガー法での解析も施行した。(それぞれ両親兄弟検体について解析済み)。新規遺伝子変異を検出された、患者腎組織を入手できたため、病因変異であるかの確認目的に、当該遺伝子産物の発現等を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに11症例もの検体協力が得られ、症例数を増やすことができた。 また、エクソーム解析に関して、山形大学(学内)で施行することができるようになり、 コピー数の異常についての情報も得ることができるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
さらに対象症例数を増やし、エクソーム解析を施行していく。既報の遺伝子変異が検出されたものに関しては、新規の変異であれば、機能解析を追加し病因遺伝子変異であるかの確認を追加していく。また、できる限りの血縁者の協力を得て、家系解析を追加する。 また、患者腎組織が入手できる場合は、その原因遺伝子産物の発現の有無の確認も進める。 既報の遺伝子変異が確認されなかった場合は、発症年齢や組織型、臨床症状なども鑑みて共通する遺伝子変異の有無を検討し候補遺伝子を選定し、新規病因遺伝子の同定に進めていく。 新規の疾患関連遺伝子は随時増えるため、数か月ごとに、論文確認をし、スクリーニングした患者のエクソーム解析結果を再検討し、既報遺伝子変異の有無の確認作業も並行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品類が、使用計画時よりわずかながら少ない量で、研究を進めることができたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き本年度の物品費の一部として勘案し、プライマー購入や、PCRなどに使用する試薬類の購入資金に充てる。
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