研究課題/領域番号 |
16K10060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鶴見 晴子 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (20632269)
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研究分担者 |
張田 豊 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10451866)
服部 元史 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50192274)
神田 祥一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60632651)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メサンギウム細胞 / 膜性増殖性糸球体腎炎 |
研究実績の概要 |
糸球体腎炎においてメサンギウム細胞の変化は高率に認められ、それは臨床所見とは独立して疾患予後と関わることが報告されている。糸球体腎炎の一型である膜性増殖性腎炎(MPGN)は、メサンギウム細胞増殖と基底膜の二重化病変を主体とする難治性の腎疾患で、糸球体に免疫複合体または補体のみ沈着し、メサンギウム角を起点としてメサンギウム突起が内皮下へ陥入する像(interposition)を呈することが病理学的な特徴である。近年先天的な補体の調節異常によりMPGNが発症することが明らかになり、局所における補体の活性化がこの病態の本態であることが判明した。メサンギウム細胞は補体により傷害された内皮細胞から産生されるPDGFによる影響を受けるが、補体最終産物C5b-9やC3a, C5a受容体を介し補体がメサンギウム細胞へ直接傷害するメカニズムも注目を集めている。しかしながら、補体刺激の下流でのメサンギウム細胞の形態変化、増殖や異常な遊走の分子メカニズムの全体像は不明である。 本研究ではMPGNを代表とする補体介在性腎炎において、補体の下流でのメサンギウム細胞障害の分子メカニズムを明らかにする。網羅的探索により標的因子のスクリーニングを行い、その後に、検出した各分子が腎炎の病態形成にどのように関与しているかについて機能解析を行う。 初年度としては計画通り培養メサンギウム細胞に補体(C3a, 0.1μM、24-48時間)を作用させ刺激前後のサンプルを比較した。しかし、この実験条件で細胞の形質が変化すると報告されていたものの、我々の検討では細胞骨格や基底膜との接着構造への変化は認められなかった。そのため補体と合わせ、そのほかの刺激(PDGF, Angiotensin, hEGF, Endothelin-1, bFGF, PMA)についても細胞形態の変化の評価を行った。その結果細胞形態が変化する条件を見出すことができた。現在刺激前後のサンプルを用い、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養メサンギウム細胞に当初計画していた補体(C3a, 0.1μM、24-48時間)を作用させたところ、この実験条件で細胞の形質が変化すると報告されていたものの、我々の検討では細胞骨格や基底膜との接着構造への変化は認められなかった。我々の検討では比較的新しいヒト由来のメサンギウム細胞を用いている点が異なっており、細胞種の違いの要因がが原因として大きいと考えらえた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた補体と合わせ、そのほかの刺激(PDGF, Angiotensin, hEGF, Endothelin-1, bFGF, PMA)についても細胞形態の変化の評価を行った。その結果細胞形態が変化する条件を見出すことができた。現在刺激前後のサンプルを用い、検討を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験条件の検討に予定より時間がかかったためサンプルの解析のうち一部を次年度に行うこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
計画されていた検討内容の一部を平成29年度に行う。
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