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2017 年度 実施状況報告書

デクスメデトミジンを用いた肺高血圧症に対する新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 16K10061
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

土井 庄三郎  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座教授 (80262195)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード肺高血圧 / 肺小動脈リモデリング / デクスメデトミジン / モノクロタリン / 平滑筋細胞増殖 / アポトーシス / NF-kB
研究実績の概要

(目的)MCT-PHラットに対するDEXのPH肺小動脈に対するリモデリング抑制効果と、その機序を明らかにすること。
(方法)MCT誘発のPH群、DEX持続皮下投与によるDEX群とNC群で、肺組織をHE, EVG, α-SMA, PCNAにて免疫組織染色し、径50μm前後の肺小動脈を観察し、各群肺小動脈筋性化を定量評価した。さらにDEXのNF-kB阻害を調べるためにp-p65陽性細胞を検討した。肺ホモジネートのPCRでFGF2, Bcl-2, BAXのmRNA発現量を検討した。DEXの肺小動脈中膜平滑筋細胞apoptosis効果をTUNNEL assayにより検討した。
(結果)肺小動脈の筋性化を筋性化無し(N)、部分的筋性化(P)、全周性筋性化(F)とした時、NC群のN62%, P30%, F8%は、MCT群でN3%, P1%, F85%と筋性化が進み、DEX群でN19%, P56%, F25%と筋性化は抑制された。径50μ前後の肺小動脈中膜平滑筋のp-p65陽性細胞は、MCT群でNC群に比し有意に多く、DEX群で有意に減少した。肺ホモジネートPCRでFGF2はMCT群でNC群に比し有意に増加、DEX群でMCT群に比し有意な減少を認めた。Bcl-2はMCT群でNC群に比し増加傾向を認め、DEX群でMCT群に比し有意な減少を認めた。BAXはMCT群でNC群に比し減少傾向を認め、DEX群でMCT群に比し有意な増加を認めた。肺小動脈中膜平滑筋細胞のアポトーシスはMCT群でNC群に比し有意に減少し、DEX群でMCT群に比し有意な増加を認めた。
(考察)肺高血圧による肺小動脈リモデリングは、中膜平滑筋の肥厚、筋性化動脈の総数、と程度において、DEXにより有意に抑制された。機序としてDEXの中膜平滑筋細胞増殖抑制とアポトーシス誘導が示唆された。DEXのNF-kB阻害による可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の進捗状況はおおむね順調とも考えられるが、肺ホモジネートを使用したPCRによる肺小動脈平滑筋細胞のアポトーシス効果に関しては、検体を変更した結果再現性が乏しく、そのため肺動脈平滑筋細胞のアポトーシスを直接評価する方法として、免疫組織化学法によるTUNNEL assayを施行した。この結果に関しても、まだまだ安定した結果が得られず、試薬を変更するなど実験を反復していく必要を感じている。

今後の研究の推進方策

DEXのPH 改善におけるメカニズム解明を継続 する。抗炎症作用を調べる実験として、p65、p-p65 の Western BlottingやIHC、MPO assayなどが候補に挙がる。Apoptosisの誘導に関してはTUNNEL assayの結果を示したい。またDEXの作用機序として受容体を介する機序以外に、β-arrestinを介するNF-kB阻害によるapoptosisの誘導や抗炎症作用を考えている。β-arrestin-1やβ-arrestin-2の発現をNC群、MCT群やDEX群で比較検討することも必要と考えている。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度は、28年度の生理実験に際して保存していた資料を使用して行うことが多く、動物の購入費が抑制されたこと、最終年度は研究費が少なくなることも考慮し、次年度への使用計画とした。

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公開日: 2018-12-17  

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