研究実績の概要 |
(目的)MCT-PHラットに対するDEXのPH肺小動脈に対するリモデリング抑制効果と、その機序を明らかにすること。 (方法)MCT誘発のPH群、DEX持続皮下投与によるDEX群とNC群で、肺組織をHE, EVG, α-SMA, PCNAにて免疫組織染色し、径50μm前後の肺小動脈を観察し、各群肺小動脈筋性化を定量評価した。さらにDEXのNF-kB阻害を調べるためにp-p65陽性細胞を検討した。肺ホモジネートのPCRでFGF2, Bcl-2, BAXのmRNA発現量を検討した。DEXの肺小動脈中膜平滑筋細胞apoptosis効果をTUNNEL assayにより検討した。 (結果)肺小動脈の筋性化を筋性化無し(N)、部分的筋性化(P)、全周性筋性化(F)とした時、NC群のN62%, P30%, F8%は、MCT群でN3%, P1%, F85%と筋性化が進み、DEX群でN19%, P56%, F25%と筋性化は抑制された。径50μ前後の肺小動脈中膜平滑筋のp-p65陽性細胞は、MCT群でNC群に比し有意に多く、DEX群で有意に減少した。肺ホモジネートPCRでFGF2はMCT群でNC群に比し有意に増加、DEX群でMCT群に比し有意な減少を認めた。Bcl-2はMCT群でNC群に比し増加傾向を認め、DEX群でMCT群に比し有意な減少を認めた。BAXはMCT群でNC群に比し減少傾向を認め、DEX群でMCT群に比し有意な増加を認めた。肺小動脈中膜平滑筋細胞のアポトーシスはMCT群でNC群に比し有意に減少し、DEX群でMCT群に比し有意な増加を認めた。 (考察)肺高血圧による肺小動脈リモデリングは、中膜平滑筋の肥厚、筋性化動脈の総数、と程度において、DEXにより有意に抑制された。機序としてDEXの中膜平滑筋細胞増殖抑制とアポトーシス誘導が示唆された。DEXのNF-kB阻害による可能性が考えられた。
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