研究課題/領域番号 |
16K10062
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
池住 洋平 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70361897)
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研究分担者 |
矢尾板 永信 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00157950)
山田 剛史 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90601922)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性腎疾患 / マクロファージ / 疾患特異性マクロファージ / 腎尿細管間質線維化 / ミゾリビン |
研究実績の概要 |
本研究は慢性腎疾患の組織病変の進展にマクロファージ(MQ)が関与すること、特に尿細管間質の線維化や糸球体のメサンギウム基質の増生、糸球体硬化といった慢性病変の形成に慢性腎病変形成に関わる疾患特異的MQが存在することを明らかにし、その機能の解析ならびに制御法を確立することを目的としたものである。 これまでにヒト腎生検組織を用いた検討から、炎症性、非炎症性を問わず、またステロイドや免疫抑制薬などによる治療下の有無に関わらず、慢性腎疾患の代表的な終末像にあたる尿細管間質の進展にCD163陽性のM2型活性化MQが普遍的に関わることを明らかにした。末梢血単球を用いて誘導した正常ヒトMQに、酸化LDL、ステロイドを添加し誘導したCD163陽性MQのサイトカイン発現を網羅的に解析し、慢性病変の進展機序として線維化促進因子(FGF1, FGF2など)を見出し、腎組織中での発現も確認した。 最終年においては、各種慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群の治療、あるいは腎移植の際に用いられているいくつかの免疫抑制薬を用い、同様の培養系においてCD163陽性MQのサイトカインを含む各種分子の発現を網羅的に解析することにより、免疫抑制薬の作用機序およびCD163陽性MQの制御法の検討を行った。その結果、シクロスポリンやタクロリムスなどカルシニューリン阻害薬はCD163陽性MQ活性化に影響せず、一方ミゾリビンやミコフェノール酸モフェチルなどの代謝拮抗薬による活性化制御が可能であることを見出した。小児慢性糸球体腎炎の治療に汎用されるミゾリビンは、MQの生存に関わるCD300e分子の発現制御に関わる可能性を見出した。 これらの結果はいずれも国内外の学会にて報告しており、引き続き論文化に努めている。
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