研究実績の概要 |
本研究では、岡山大学の高いレベルの診療力、研究力と生体試料分析技術を背景にトランスレーション研究を行いながら、①血管内皮機能、②酸化・ニトロ化ストレス(レドックス制御)、③一酸化窒素(NO)生成、レドックス制御と密接なアルギニン代謝の3群の生体マーカーを低~非侵襲的に評価することで、心不全、急性心筋炎、肺高血圧症などの危急・難治疾患の適正管理の方向付け、および新規の効果的治療法・予防法の開発を目指している。 2017年度の研究成果は以下の通りである。(1)全身性血管炎の代表的疾患で、血管内皮障害、酸化ストレス亢進を特徴とする「川崎病」の発症において乳児期の大気汚染曝露(PM 2.5など)が危険因子であることを示した(Yorifuji T, Tsukahara H, Kashima S, Doi H. J Pediatr. 2018; 2016年度は乳児期早期の母乳摂取が「川崎病」の危険性を下げることを示していた; Yorifuji T, Tsukahara H, Doi H. Pediatrics. 2016)。(2)エネルギー産生障害、肝障害、酸化ストレス亢進を特徴とする「シトリン欠損症」の乳幼児期のアミノ酸代謝異常の詳細を明らかに示した(Miyazaki T, Nagasaka H, Tsukahara H, et al. JIMD Rep. 2018)。(3)成長障害、酸化ストレス亢進を呈する不当軽量児(SFD児)のコレステロール代謝、アミノ酸代謝、NO生成の特徴を成長ホルモン治療との関連性の中で明らかにした(Hirayama S, Nagasaka H, Tsukahara H, et al. J Clin Lipidol. 2017; Nagasaka H, Morioka I, Tsukahara H, et al. J Int Med Res. 2018)。(4)肺上皮細胞においてインフルエンザウイルスの増殖を調節する代謝経路を明らかにした(Yamashita N, Yashiro M, Tsukahara H, et al. BBRC 2017)。
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