研究課題/領域番号 |
16K10068
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
早渕 康信 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (20403686)
|
研究分担者 |
小野 朱美 徳島大学, 病院, 医員 (20771124) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 肺高血圧 / 肺動脈 / vasa vasorum / 血管外膜 / 光干渉断層像 |
研究実績の概要 |
肺高血圧症の組織学的変化は病態の進行とともに内膜肥厚、線維化・中膜の平滑筋層肥大・叢状病変などの像が認められ、心不全の増悪を引き起こし予後に大きく影響している。小児期の肺高血圧は、特発性・遺伝性・先天性心疾患を原因とするものなどが挙げられる。これらの肺血管組織所見は類似し、共通の発症機序も示唆されている。 血管内中膜の組織学的変化に比較して血管外膜の病変進行や病態への作用に関する研究はこれまでにほとんど無い。本研究では肺高血圧病変における血管外膜の影響に注目し、外膜における微小血管(vasa vasorum)の増生、炎症細胞・線維芽細胞の浸潤などによる肺高血圧症病態進行に対する作用機序を検討し、治療応用の開発を目的とした。 当施設で入院加療を施行した小児心疾患症例において充分な説明の後で了解を得て、肺動脈をoptical coherence tomography (OCT)を用いて観察した。OCTによって、ほぼ全症例で組織性状の観察が可能であった。また、継続して観察可能であった肺高血圧を呈する症例の血管病変は、肺血管拡張剤使用や病態改善とともに改善傾向が認められるものがあった。さらに、本研究の主テーマである血管外膜、vasa vasorumは、体肺側副血管が多い症例では豊富に認められることが確認された。さらに、基礎実験研究に関しては、コントロール(正常肺動脈圧)ラットおよび肺高血圧ラットにおける肺動脈外膜の病理組織学的変化、血管内皮前駆細胞、マクロファージ、炎症所見の比較検討、モノクロタリン投与または低酸素暴露によって肺高血圧を呈したラットの肺血管組織を摘出し、血管外膜の病理学的変化について観察する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得られた研究データとしては、肺高血圧症を呈する小児心疾患症例におけるoptical coherence tomography (OCT)を用いた肺動脈壁の観察では、肺高血圧が重症である症例ほど肺動脈内中膜の肥厚と外膜の発達およびvasa vasorumの増生が顕著であるという所見である。さらに、我々は体肺側副血管が豊富な症例では、vasa vasorumが顕著に認められるということを新たに発見した。高血圧ラットを用いた基礎研究でも類似の結果が得られ、さらに詳細な定量化ができるか否かをすすめていくことの必要性の確証が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
小児心疾患症例における血管外膜のOCT所見を引き続き検討していく。また、コントロール(正常肺動脈圧)ラットおよび肺高血圧ラットにおける肺動脈外膜の病理組織学的変化、血管内皮前駆細胞、マクロファージ、炎症所見の比較検討を予定している。 モノクロタリン投与または低酸素暴露によって肺高血圧を呈したラットの肺血管組織を摘出し、血管外膜の病理学的変化について観察する。Vasa vasorumの発達、炎症細胞やマクロファージ、筋線維芽細胞の増生などの所見について検討する。 コントロール(正常肺動脈圧)ラットおよび肺高血圧ラットにおける肺動脈外膜の病理組織学的変化、血管内皮前駆細胞、マクロファージ、炎症所見の比較検討、モノクロタリン投与または低酸素暴露によって肺高血圧を呈したラットの肺血管組織を摘出し、血管外膜の病理学的変化について検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
130円が次年度使用額として算出された。これは年度末に文具を購入したが、2018年4月の支払となったために生じたものである。
|