研究課題
研究期間の以前からストックしていた川崎病患児の咽頭菌および研究期間3年間に入院した川崎病症例の咽頭菌について検討した。その結果、平成26年10月から平成31年2月までに川崎病診断基準を満たして当院に入院した川崎病患児130例が対象となった。入院時に咽頭ぬぐい液を採取し、液体培地(Brain-Heart Infusion Broth)を用いてovernightで増菌培養し、得られた咽頭培養液を-80°に保存した。その培養液からDNA Mini Kit (QIAGEN)を用いて全DNAを抽出し、4つのSAg遺伝子(SPE-A, SPE-C, SPE-G, SPE-J)断片についてPCRで検討した。当初は陽性率が低かったのでPCRの条件をいろいろ変更して陽性率の高い条件設定を模索した。最終的には、Tmを45℃に変更し、プライマーには25marを用いることによってSAg遺伝子断片の検出率が改善した。その結果、対象症例130例中、個々のスーパー抗原遺伝子について陽性例は、SPE-A:8例、SPE-C:14例、SPE-Gが32例、SPE-Jが5例であった。2つ以上のスーパー抗原遺伝子が検出されたのは6例で、SPE-AとSPE-Jが1例、SPE-AとSPE-Gが1例、SPE-CとSPE-Gが3例、SPE-CとSPE-GとEPE-Jの3つの遺伝子が検出されたのが1例であった。3年目の研究において、PCRで陽性反応の出た培養液を、BHI寒天培地に蒔いてコロニーを採取し、各々のコロニーのSAg遺伝子を検討した。研究期間内に純粋培養された細菌中にSPE-G遺伝子を保有する菌種を同定し、この菌種の16S rRNA遺伝子のシークエンス解析を行った結果、St.pyogenes以外のレンサ球菌Xと同定された。このレンサ球菌について更なる詳細な検討を行う予定である。
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