研究課題/領域番号 |
16K10082
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
竹下 誠一郎 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (50369542)
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研究分担者 |
川村 陽一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 助教 (10648801)
野々山 恵章 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 教授 (40280961)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 川崎病 / 血管炎 / 好中球細胞外トラップ / NETosis |
研究実績の概要 |
申請者らは、川崎病(Kawasaki disease, KD)急性期において、末梢血好中球は増加するとともに機能的にも活性化されてelastase等を過剰に産生して血管炎の病態に深く関与していることを報告してきた。近年、核内のクロマチンで構成される網目状の好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps, NETs)放出を伴うNETosisという新たな細胞外殺菌機構が報告され、敗血症・血栓症・自己免疫疾患等の病態への関与が注目を集めている。そこで、本研究では「KD血管炎の病態におけるNETosisの関与を検討し、その制御機構を解明する」ことを目的とした。KD患児37人と健常児6人の末梢血好中球を抽出した後in vitroにおけるspontaneous NET形成を免疫染色学的に検討し、KD急性期と回復期および健常児と比較検討した。 KD急性期の好中球のin vitroにおけるNET形成はKD回復期や健常児に比較して有意に亢進していた。またKD急性期に増加していた上清中のcell-free DNA (cf-DNA)とneutrophil elastase (NE)-DNA complexesは回復期にかけて減少する傾向を示した。さらに、KD急性期の血中cf-DNA値も回復期や健常児に比較して高値を示した。本研究の結果は、Pediatric Research にacceptされた(オンライン掲載Pediatr Res. 2020 Jan 14. doi: 10.1038/s41390-019-0710-3.)。従って、KD急性期においてNET形成が亢進していることが明らかとなり、NETosisの制御機構が破綻することによってNETsの過剰な放出が起こり、KD血管炎の病態形成に深く関与することが示唆された。
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