研究課題/領域番号 |
16K10084
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邊 真平 東北大学, 大学病院, 助手 (70509413)
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研究分担者 |
齋藤 昌利 東北大学, 大学病院, 講師 (00451584)
北西 龍太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20436116)
埴田 卓志 東北大学, 大学病院, 助教 (30400360)
松田 直 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50361100)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒツジ / 人工胎盤 |
研究実績の概要 |
早産児を後遺症なく生存させることは周産期新生児医療の喫緊の課題である.現行の新生児医療は出生直後から人工呼吸管理を開始して,早産児に胎児循環から成人循環への適応を強制している.そのため,妊娠24週未満で生まれた成育限界児は左心不全や動脈管開存に陥りやすく,しばしば脳出血,脳白質損傷,壊死性腸炎を併発する.そこで我々は,ヒト胎盤循環を模したポンプレス人工胎盤システムを,ヒツジ胎仔を用いた動物実験で開発した.このシステムを臨床応用すれば,現行の保育器で育てる新生児医療を人工子宮で育てる新生児医療へと転換させ,成育限界児の後遺症なき生存を可能にするかもしれない. 開発と並行して欠かせないのは安全性の評価である.そこで本研究期間には,妊娠満期までの10日間を人工胎盤システムで成育させたヒツジ胎仔が,その離脱後に補助人工換気を要さず,自発呼吸のもと自立歩行が可能であることを検証する. 平成29年度には妊娠137日のヒツジ胎仔に人工胎盤システムを装着し,満期までの成育を試みる実験を4回予定した.しかし,1例は実験前に子宮内胎仔死亡となり中止となり,もう1例は術中に出血性ショックとなり中止となった.そのため実際に人工胎盤システムを装着し,養育を試みたのは2例であった.そのうち1例は人工胎盤システムを10日間装着したのちに,人工子宮から娩出し,自発呼吸により十分な換気が可能であった.もう1例は人工胎盤システムを装着して6日目に敗血症性ショックとなり死亡した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は人工胎盤システムによる養育によって肺組織の成熟を得られ,人工子宮から娩出後に自発呼吸による換気が可能であることが示された.しかし予定した4例のうち,2例しか実験が実施できなかった.1例は実験前に子宮内胎仔死亡となり中止となり,もう1例は術中に出血性ショックとなり中止となった.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に導入した羊水持続循環装置によっても,長期の成育中には人工羊水の汚染を防ぐことは不可能であった.そのため人工羊水の入れ替えや”かけ流し”による羊水の浄化を検討する必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度には妊娠137日のヒツジ胎仔に人工胎盤システムを装着し,満期までの成育を試みる実験を4回計画した.しかし1例は実験前に子宮内胎仔死亡となり中止となり,もう1例は術中に出血性ショックとなり実験を実施できなかった.実施できなかった実験の試薬やカテーテルなどの消耗品代金は次年度に繰り越すこととした.
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