研究課題/領域番号 |
16K10085
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 昌利 東北大学, 大学病院, 講師 (00451584)
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研究分担者 |
北西 龍太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20436116)
埴田 卓志 東北大学, 大学病院, 助教 (30400360)
松田 直 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50361100)
渡邊 真平 東北大学, 大学病院, 助手 (70509413)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早産児 / 動脈管開存症 / ヒツジ |
研究実績の概要 |
超早産児の動脈管開存は,その血管リモデリング (動脈管壁の内膜肥厚) の未熟性によってcyclooxygenase 阻害剤による内科的治療に抵抗性を示すため,解剖学的閉鎖が得られにくい.予備実験において,対照群のヒツジ胎仔では妊娠107日 (満期147 日,ヒト妊娠29 週相当) 以降でなければ動脈管壁の内膜肥厚は観察されなかった.一方,胎仔に子宮内炎症や慢性低酸素を負荷すると妊娠101 日 (ヒト妊娠27 週相当) であっても内膜肥厚が観察された.したがって,子宮内炎症や慢性低酸素,さらにそれに伴うストレスホルモンの分泌は内膜肥厚を促進させる可能性がある.そのため本研究では,ヒツジ胎仔の慢性実験系を作成して子宮内炎症,慢性低酸素,glucocorticoid投与のいずれかを負荷し,胎生期に動脈管壁の血管リモデリングを促進させる因子を明らかにすることを目的とした. 予備実験から得られた仮説が正しければ,炎症群,低酸素群,glucocorticoid群の胎仔にのみ動脈管壁に内膜肥厚が誘導される結果が予想される.それは産科臨床において,出生後に動脈管の解剖学的閉鎖が得られるかどうかを見通した上で,子宮内炎症や慢性低酸素を合併した胎児の至適な分娩のタイミングや母胎glucocorticoid 投与のタイミングを考慮するための礎となることが期待され,動脈管の内膜肥厚を促進させる治療を開発する臨床研究のための橋渡し的研究として位置付けられる. 平成29年度は慢性実験系のもとで子宮内炎症を誘発したヒツジ胎仔 1例,対照群 4例,グルココルチコイド群2例を剖検し,動脈管,大動脈,肺動脈の組織を採取し,病理標本を作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は慢性実験系のもとで子宮内炎症を誘発したヒツジ胎仔 1例,対照群 4例,グルココルチコイド群2例を剖検し,動脈管,大動脈,肺動脈の組織を採取し,病理標本を作成した. ヒツジの交配が予定通りに進まず,実験予定日に適当な妊娠日齢の妊娠ヒツジが手に入らず,3例が実験中止になった.そのため実施した頭数は当初予定されたよりもやや少ない.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には慢性実験系のもとで低酸素群,glucocorticoid群の負荷実験を行う.誘導された内膜肥厚の程度が弱ければ,cyclooxygenase 阻害剤抵抗性で解剖学的閉鎖に至るには不十分な動脈管壁の組織像を詳細に観察する機会を得られるかもしれない.また内膜肥厚のスコアリングを用いて定量的な評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成30年度請求額と合わせ平成30年度の研究遂行に使用する予定である。
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