研究課題/領域番号 |
16K10089
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高間 勇一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50467560)
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研究分担者 |
田附 裕子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10397698)
奥山 宏臣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30252670)
児玉 匡 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60771045)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / 新生児 / 補体 / 治療 / 低出生体重児 |
研究実績の概要 |
目的:壊死性腸炎(NEC)は早産児の死亡原因の第1位である.組換えヒト可溶性トロンボモジュリン(rTM)は,抗炎症効果ならびに抗血栓形成効果を有することが報告されている.本研究の目的は,実験的NECモデルに対するrTMの効果を評価することである.Sprague-Dawley新生仔ラット70匹を出生直後にランダムに3群(NEC:34,NEC + rTM:25,対照:11)に分けた. NECは,高浸透圧の経管強制栄養,lipopolysaccharideの胃内投与(1日目および2日目に2回),および低酸素ストレス(1日3回,10分)によって誘発された.対照には母乳が自由に与えられた.NEC + rTM群では,rTMを皮下に2回(1日目および2日目にそれぞれ1回)投与した.96時間以上生存した全ての動物,並びに瀕死状態の動物は安楽死させた.回腸を組織学的評価(NECスコア:0~4)およびTNF-α,IL-6のmRNA発現の測定のために採取した.結果:NEC + rTM群の生存率は,NEC群(NEC + rTM:64%,NEC:23.5%,p=0.0005)より有意に高かった. NEC + rTMグループのNECスコアは,NECグループよりも有意に低かった(NEC + rTM:1.6±0.8,NEC:2.5±1.2,p=0.0025).TNF-αおよびIL-6のmRNA発現はNEC群で有意に上昇したが,NEC + rTM群では対照群と同じレベルに低下した.結論:今回の研究結果より,rTMがNECの重篤度および発症率を低下させることが明らかとなった.rTMはNEC治療の一つの選択肢となる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題の実験検討はおおむね終了し,論文投稿中であるが採択に至らず改訂中である.
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今後の研究の推進方策 |
論文投稿に際しての追加実験や再投稿を準備中である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。 (使用計画) 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め当初予定通りに計画を進めていく。具体的には、消耗品、情報収集あるいは成果発表の 為の旅費、 投稿料に用いる予定である。
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