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2016 年度 実施状況報告書

ダウン症候群における造血異常の病態解明と責任遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 16K10090
研究機関大阪大学

研究代表者

北畠 康司  大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80506494)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードゲノム編集 / iPS細胞 / ダウン症候群 / 造血異常
研究実績の概要

21トリソミーiPS細胞から造血分化誘導を行ったうえで、遺伝子発現変化を解析した。4Mb領域内にコードされる約20個の遺伝子のうち、とくに強い発現変化を示すものとして、RUNX1, ETS2, ERGを同定した。このうちとくに造血に重要な遺伝子であるRUNX1をピックアップし、1アレル分のみの欠失を目指した。
RUNX1に対するCRISPR/Cas9システムを作成し、Neoを搭載したドナーDNAとともにNEONシステムをもちいて21トリソミー・GATA1wt iPS細胞へ遺伝子導入した。Neoをもちいたpositive selectionにより得られたコロニーについて、RUNX1座位近傍のマイクロサテライトをもちいたshort tandem repeat (STR)解析を行ったところ、RUNX1が1アレル分だけ欠失したクローンを得ることができた。
このクローンをもちいて造血分化誘導を行ってみると、CD235陽性の赤芽球、CD33陽性の骨髄球のいずれもRUNX1欠失前のトリソミー21細胞群より有意に低く、健常児ならびに4Mb欠失iPS細胞とほぼ同じであった。さらにCD34+細胞群に対するCD43+細胞の比率も
RUNX1欠失細胞は健常児とほぼ同じであり、このことから21トリソミーによって引き起こされる造血分化亢進作用は、RUNX1のトリソミー単独で起こりうるということが分かった。さらに重要なことに、4Mb領域欠失iPS細胞にレンチウイルスをもちいてRUNX1を強制発現させると、CD43陽性細胞数が増加したことから、このRUNX1のトリソミーが日強言う十分条件であることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトiPS細胞における遺伝子改変は容易ではないが、ゲノム編集をもちいることで可能になる。CRISPRをもちいることでRUNX1における遺伝子改変を行ったところ、1アレルだけに欠失が導入されたクローンを多数得ることができた。

今後の研究の推進方策

RUNX1以外には、ETS2とERGが候補遺伝子として上がっている。
RUNX1のみ、ETS2のみ、RUNX1+ETS2の両方、に1アレル欠失が入ったクローンを作成し、その造血変化を調べたい。
次にGATA1短縮型変異と巨核芽球変化を観察するために、21トリソミー+GATA1s iPS細胞に対してRUNX1変異、ETS2変異、ERG変異を導入する必要がある。そのiPS細胞クローンをフィーダー細胞をもちいた巨核芽球系の分化誘導を行うことで、異常な分化誘導が認められるかどうかを確認する必要があるだろう。
一方で、これらの遺伝子変化が、GATA1の遺伝子発現に影響をおよぼすのかどうかを調べたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Systematic Cellular Disease Models Reveal Synergistic Interaction of Trisomy 21 and GATA1 Mutations in Hematopoietic Abnormalities.2016

    • 著者名/発表者名
      Banno K, Omori S, Hirata K, Nawa N, Nakagawa N, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Sakuma T, Yamamoto T, Toki T※, Ito E※, Yamamoto T, Kokubu C, Takeda J, Taniguchi H, Arahori H, Wada K, Kitabatake Y, and Ozono K.
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 15 ページ: 1228-1248

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.04.031

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 疾患iPS細胞とゲノム編集をもちいたダウン症候群におけるTAMの病態解析2016

    • 著者名/発表者名
      北畠康司,坂野公彦,大森早也佳,平田克弥,那波伸敏,中川夏季,谷口英俊,荒堀仁美,和田和子,大薗惠一
    • 学会等名
      第119回 日本小児科学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2016-05-13 – 2016-05-15

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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