研究課題
肝臓ビリルビン抱合能と脳内酸素代謝の発達の関連性を検討するためビリルビン抱合能を血中抱合、非抱合ビリルビン濃度計測により推定するための尿中コプロポルフィリン比の検討、脳内酸素消費量を推定するNear-infrared spectroscopy(NIRS)による脳内Hb酸素飽和度(ScO2%)の信頼性を検討した。1)ビリルビン抱合能(UDP-glucuronosyl transferase活性)を血中抱合型・非抱合型ビリルビン比率で検討する場合、抱合型ビリルビン排泄能の評価が必要である。MRP2/ABCC2は抱合型ビリルビン等の内因性物質や薬物等の外因性物質を肝臓外へ排泄するトランスポーターであるため尿中コプロポルフィリン比(UCP [I/(I+III)])の日齢・修正週数による変化を検討した。正期産児におけるUCP[I/(I+III)] は、修正在胎週数(30~65週)と逆相関を示した。早産児(在胎25~32週、21例)では、生後24時間では高値でありその後、低下して生後1~4週間では一定値を示した。生後7日のUCP比の低下は生後の適応に伴うコプロポルフィリン I の肝分布の増加に伴う排泄増加と考えられ、MRP2の機能の間接評価として利用するには、生後2週以降が適切と考えられた。2)NIRSによるScO2測定の検討として先天性心疾患(CHD)の小児例(0~15歳、186例)のカテーテル検査時にINVOS 5100C (COVIDIEN) を用いて右前額部に貼付しScO2を測定し同時に右内頸静脈血と大腿動脈血のHB酸素飽和度(SjvO2とSaO2%)の測定を行い、測定値の検討を行った。ScO2= α×SjvO2 + (1-α)×SaO2 (0≦α≦1)、αが常に一定であると仮定しCHDの病態別にScO2を検討した結果、2心室心内修復手術前、後と1心室修復手術前はその関係性が成立したが1心室修復手術後は成立せず測定値の病態別の解釈が必要である事が判明した。今後これらの基礎的事実を参考に新生児での血中抱合、非抱合ビリルビン濃度の計測とScO2の関係性を継続して検討する予定である。
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